暴走書家

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『越える必要のない壁-1-』

 もう出会ってから随分経つけれど、俺達の関係が、セックスフレンド以上になる事はなかった。
 そして、お互いそれを知りながら、その関係を続けてきた。

 向こうが、俺の知っている範囲でも、知らない範囲でも、俺以外の人間とセックスする事に口出しをする気も不満を持つ事もなかったし、向こうにとっても、そうだった。

 何かしらが、契機きっかけとなってその関係に終止符が打たれるかもしれない、そんな可能性は多分にあったけれど、何故かずっと続いている。

 この関係を変える気はなかったし、特に止めるような出来事もなかった。
 色々な人間と関係を持つ中で、俺達の間は途切れる事なく続いていた。

 俺も、向こうも、忙しい身だから、そんなに頻繁に会う訳じゃない。
 けれど、たまに、連絡を取って、会う事になる。
 向こうから連絡があるか、俺が連絡をするかは、その時次第だし、その時抱えている状況によっては、会わない事もある。

 かなり気心が知れている、それも、俺達の関係を続けさせる要因だった。

 ある日、何となくその気になって、久し振りに連絡を取った。
 向こうも、時間を取れるみたいだったので、彼が、オーナーを勤めるバーで落ち合う事にした。

 そのバーの事を知ったのも、彼経由だったが、今は、かなり気に入っているバーの一つだ。
 彼の本業は、バーの経営ではない。
 大学も、研究する分野も全く違えど、そこに在を置いている。

 俺は、社会学の道に進み、大学院を出て、運よく、大学の研究室に残ることが出来た。
そして、向こうは、医学部で、法医学を専攻し、大学で、研究を続けながら、実地として、観察医務院にも出向いている。
 そして、弁護士としての資格ももっているつわものだ。
 実際、弁護士として活動はしていないが、その関係上の知り合いはいる。

 バーを経営する、という事においても、かなり広い面で、人脈を持っており、それを生かしてこそ、かなり拘りをもったバーを経営する事が出来ている。
 勿論、始めから、それらの人と、知り合いだった訳ではないだろう。
 人は人を繋ぐ、その連鎖をもって、人脈を掘り進めて行ったのだろう。

 そして、自分がゲイであることを、通常においても、あまり隠さず、また、バーの性質上、そういうものだ、と知っていて尚、力を貸してくれるのは、彼が人を見る目が在るのか、彼の人徳だろうか。

 このマスター自身も、彼が、見つけて来たと言う。
 マスター自身、この店に馴染み、この店の持つ独特の雰囲気をよりいっそう深いものにしてくれている。

 すっかり、馴染みになったバーで、お気に入りの酒を嗜みながら、彼が、やって来るのを待っている。
 待つ時間が苦痛にならない。
 元々、俺自身、性格的にそうだが、このバーはそれ以上に快適な場所なのだ。

 小一時間待っただろうか。
 やっと、彼がバーに姿を現した。

「いらっしゃいませ。」
 まず、マスターが声をかける。
 そうして、カウンターに腰掛けていた、俺の隣の席へ、腰掛ける。
「久し振り、悟。」
「ああ。雫、お前もな。」

「マスター、いつものお願い。」
「はい。かしこまりました。」

 それ程、多くは会話を交わさなくとも、それなりにお互いの近況は知っている。
 基本的に特定の相手がいる間は、連絡を取っても、あまり会ったりしない。
 その辺のところはきちんと心得ている。
 そして、会わなくても、途切れる事のない、俺達の関係。

 雫は、ゲイであることも、その他の事に関しても、結構おおっぴらに話をする。
 隠し事なんてないんじゃないか、というくらい。
 けれど、その実、実際に長く付き合ってみるとわかるけど、自ら進んで話さない事もある。
 おそらく、問われれば、きちんと答えるだろう。
 けれど、そうでない限り、どこか、他人と少し距離を置いている。
 そして、それを悟らせない。

 マスターを交え、3人で、会話を交わしてから、バーを後にする。
「今日も、車で来てるんだろ?」
「ああ。」

 普通に考えれば、酒を飲む事を前提でやってくるのに、雫は、必ずといって良いほど、車でやってくる。
 飲酒運転をする訳ではない。
 バーのオーナーをしながら、雫自身は酒を飲まないから。
 もっとも、開いた当時は、まだ酒を飲んでいたから、飲めない、という訳ではない。
 飲まなくなった原因も、ただ単に車を多用することになり、犯罪者にはなりたくないから、ただそれだけだ。

 車があるところまで行って、当たり前のように、助手席に滑り込む。
「どっちにする?」
 そう尋ねてきたのは、俺の家にするか、雫の家にするか、という事。
「雫の家でいいか?」
「構わないよ。」
 行き先を決定して、雫は、車を走り出させる。

「最近までいたんじゃないのか? そいつ、もう来ないの?」
「ああ。うん。鍵もちゃんと返してもらったし。もう、何の音沙汰もないよ。」
「いや、でも、急に押しかけて来たりとか。」
「それはないよ。元々、そういうタイプの人間じゃないし、最初は、危なっかしい子だったんだけどね。今は、もう、大丈夫なんじゃないかな。」
「……もしかして、あの話持ち出したのか?」
「ああ。うん。それで、彼なりに自分で答えを出したんだろ。」
「まあ、普通の人間なら、ついていけないと思うぞ、お前の考え。」
「それなら、それで仕方がないだろ? それより、悟の方こそいいのか? この間、バーに連れてきた子。お気に入りの子じゃないの?」
「靖史くんか。無関係、とは言わないけど、そういうんじゃないから。」
「靖史くん……、ああ、蛍くんの本名か。でも、あの子、まだ未成年じゃないの?」
「やっぱり、雫の目は誤魔化せないか。しっかりしてるし、見た目も大人っぽいから、いけると思ったんだけどな。」
「あのね。どうやって知り合ったか知らないけど、悟の方が犯罪者になるんだよ? 分かってる? 酒を出した店のほうも問題になるし。」
「ちゃんと時効が成立するくらいまで、隠し通すよ。捕まるようなヘマはしないって。俺も、気をつけるし、靖史くんの方も羽目をはずすような事はしないだろうし、雫も、協力してよ。」
「俺からは口に出来ないよ。店の存続にも関わるし、気付いた時点で止めなかった以上、俺も同罪なんだし。」

 同罪、か。
 いや、多分、見つかったら雫にかかる罪は重いだろう。
 活動はしていなくとも、弁護士、という肩書きを持っているのだから。
 まあ、でも、経験上、雫は上手く立ち回るだろう。
 法を遵守するため、正義感から弁護士という資格を取った訳ではない。
 勿論、そういうタイプの弁護士もいてもらわなければ困るだろうけれど、雫に弁護士という選択を選ばせた人間自体、そういうタイプではないから。

 そうこうしている内に、雫のマンションに着いた。
 ファミリータイプではなく、それでいて、通常の独身の人間が手に入れられるものではない、少々金をもてあました単身者用のマンション。
 マンション自体が、雫のものだ。
 その最上階のワンフロアが、雫自身が住居としている場所。

 エレベーターを上がりながら、雫に話しかける。
「しかし、凄いよな、金持ちってやつは。マンションごと貰ったんだろ?」
「ああ。あの人なりの、嫌味な使い方じゃないか? 金を与えられた愛人の子が、更に、愛人に使うなんて。」
「高部さん、だっけか? それでも、まだ、金あるんだろ?」
「そりゃそうだろ。自分自身の生活費もいるんだから。高部さんは、恋人の事も、ちゃんと考えてるだろうし。」
「そこら辺はちゃんとしてるんだな。」
「あの人は、ああいう人だし、決して人徳者なんかじゃないけど、弁護士としても有能だよ? じゃなければ、いくら、金持ちの家の愛人の子、とはいえ、弁護士事務所まで持たせてはもらえないよ。」

「本人の努力の成果、って訳ね。」
「努力次第で、全てが何とかなる訳じゃないけど、はなっから、努力しない人間より、ずっといいだろ? それに、愛人の子、っていう、逆境にいたからこそ、余計、じゃないのか?」
「逆境、って言ったら、雫だってそうだろ?」

 その問いに、雫は押し黙った。
 肯定する程、お調子者ではない。
 こうやって、普通に話しているけど、雫の過去を、これだけ知っているのは、きっと、俺と、高部、と言う男だけだろう。

 家の中に入って、一息つこうと、雫が、お茶を入れてくれると言う。
 ここら辺も、雫自身拘りがあるから、かなり高級な玉露あたりが出てくるだろう。
 また、その味をきちんと生かして出してくれるから、嬉しい。
 カフェインの所為で目が醒めてしまうかもしれないけれど、まだ、寝に入る訳ではないから良いだろう。

「シャワーだけでいい?」
「ああ。」

 先にシャワーを借り、バスローブを身にまとって、寝室に行く。
 かすかに残る、御香の香り。これは、何の御香だろうか?
 それ程珍しい香りではない。

「お待たせ。どうしたの?」
「いや、これ、何の香り?」
「ああ、白檀ね。ずっと前から使ってるけど、気になる?」
「いや。別に。」

 以前に来た時もそうだったかな?
 気分で、そんなにころころ変えるタイプじゃないから、きっと同じものなんだろうけど。
 オトコが変わると、香水を変えるオンナがいるというけれど、雫は、自分が気に入ったものを使い続けるからな。

 あのバーは別として、雫が、結構、和物にこだわる理由。
 そこにどんな心理が働いているのだろうか。
 実は、これは、聞いてみた事はない。
 雫の実家が、実家だけに、何となく聞けずにいる。
 尋ねたら、多分、答えてくれるのだろうけど。

 雫が圧し掛かってきて、ベッドが二人分の重さに僅かに軋む。
 丁寧に与えられる口付けが少し懐かしい。
 舌を絡ませあい、唾液が入り混じる。

「ん……ふ……」
 久し振りで、次第に、深く、激しくなるけれど、決して、性急にならないのは、相手が、雫だからだろうか。

 口付けながら、お互いのバスローブを肌蹴させていく。
 乳首を摘まれて、軽く、身じろいだ。
 それから、唇が、離れて行き、肌へと降り注いでくる。

 首筋に這わされる舌先。
 鎖骨を甘噛みされて、その刺激に軽く呻く。
 そして、立ち上がった乳首へ。

「ああ……ん……」
 与えらえる刺激を享受する。

 それから、俺は、雫のペニスをゆっくりと、深くまで、咥えていく。
 手で支え、唇を使って扱き上げていくと、硬度を増してくる。
 雫は雫で、俺のアナルに指を挿入し、解している。

 お互いに準備が整った所で、雫は、ゴムを被せたペニスを挿入してきた。
「ん……っ……」
「悟、コッチ、久し振り?」
「ああ、ちょっと。」

 多分、大分前に雫とシて以来、シてなかったと思う。
 それを、考慮し、雫は、ゆっくり挿入すると、入りきった段階で、一旦動きを止めた。
 俺が、落ち着くのを待って、ゆっくりと抽挿を開始する。

 何度も重ねたカラダは、ちゃんと感じる場所を覚えている。
「んん……あ……はぁ……あ…ああ!」
 少し、焦らしながら、それでも、的確に俺の前立腺を突き上げてくる。

 俺が、受け入れるのに十分慣れたのを見計らって、雫の腰の動きが早くなる。
「雫、も……イきそ……」
「ああ、俺も……」
 雫の指が、俺の解放を促すようにペニスに触れてきた。
 そして、その動きに堪らず放っていた。
 それから、雫も。

 倒れこんだ、ベッドの上で、早まる鼓動と、息を整える。
 息をしていると、自然と、御香の香りが、鼻腔を刺激する。
 こういう匂いを嫌う人間もいるけれど、柔らかい、雫らしい香りだ。

 落ち着いてきて、まどろんでいると、雫が、俺のペニスに触れてきた。
「まだ、出来そうだろ?」
 その意味が、わからない訳はない。
 雫の口淫を受け、勃ち上がったペニスを、今度は、雫のアナルに挿入していった。

 再び射精して、もう一休憩し、シャワーを浴びて、着替え終えると、雫の運転で、俺の家まで送ってもらった。
「再来週くらい、また、時間作れるか?」

 今まで、それ程、頻繁に会った事はない。
 雫は、少し怪訝な顔をしたけれど、了解を得た。
 詳しくは、また連絡するから、といって別れた。

 恋人になるとか、そういうことを望んでいる訳じゃない。
 けれど、もし、この関係が破綻する事になるかもしれないけれど、もう少し、雫の中に入り込まなければいけないような気がする。

 そして、それは、自惚れではなく、セックスフレンドとして、長く付き合ってきた俺にしか、出来ない事だと思っている。
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