暴走書家

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『まやかしの共有-7-』

 雫さんは、想一に時間を作らせると言った。
 それで、もし、想一が、時間を作れる時、というのは、具体的にどんな時なのだろうか。
 自らを、仕事人間だと言うし、恋人よりも仕事を優先させる、とも言った。
 どんな時にどれくらい、仕事が忙しいのかもわからない。

 それまで、恋人にも誰にも話した事のなかった事、それを、想一と話したのは事実だけれど、別に、恋人な訳じゃないし、まあ、だから、そういう話が出来たのかもしれないが、かなりの割合で、目的はセックスだったし、別にそれが嫌な訳でもなく、それはそれで良いのだけれど、話をする事を目的とした時、想一に俺から、連絡を取るべきなのだろうか。
 その為に、時間を割いてくれと。

 でも、話をしたい方は俺なのだから、俺から連絡するしかないのだろうとも思う。
 本来、自分から行動を起こす事が苦手だから、特に、相手の都合などを考えてしまうと、どうしても二の足を踏んでしまう。
 その上、俺自身の仕事が押してしまって、残業が数日続いたものだから、その間、連絡を取れずにいた。

 仕事が一段落して、取り敢えず連絡だけ取ってみようかと、考えてた頃に調度、想一から連絡があった。
 次の、金曜日か、土曜日の22時頃に時間が取れるか、と。
 翌日の負担を考えれば、どちらの日でも、休みだから、困る事はないし、それに、仕事も、何とか落ち着いてきていて、一時期のように、帰宅が日付を回ったり、それに近くなるような事もなくなっていた。

 日付を指定してきた以上、想一もその日に何とか都合を付けられるのだろうが、どちらの方が想一にはいいのだろうか。
 『どっちでもいい』と言う返事は、相手を尊重しているようでも、相手に判断を委ねる事で、自分の負担が軽くなり、こちらの決断力の無さ、を示す事になるので、やはりこれも考えて使わなければならない。
 が、一応、どちらでも時間が取れるのは事実なので、やはり、想一の都合も、尋ねてみようと、『俺は、どちらの日も時間を取る事が出来るが、想一は、どちらの方が、より都合がいいのか』と返信する。

 どちらの日もあまり変わらない。
 本当に3時間くらいしか時間が取れないから、想一の家に俺が、行く事が出来る日を選んでくれれば良い、そう返って来た。
 そんな状態ならば、やはり、こちらが合わせるしかなくて、それでも、金曜日なら、もしかしたら、仕事上のハプニングで、間に合わないかもしれないので、土曜日に想一の家に向かう旨を伝えた。

 雫さんと話をして、調度2週間後の土曜日。
 想一の家に着き、インターホンを鳴らすと、少しして、想一が出てきた。

「もしかして、まだ仕事中だった?」
「いや、ちょっと区切りを付けようと思って。」
「仕事、独りでしてるの?」
「もう2人いるけど、大幅に忙しい時以外は、先に上がってもらってる。」

 仕事をしていたらしきパソコンの電源を落とし、机の上に重ねてある紙の束を、整えている。
「もしかして、俺が帰ったら、また仕事するの?」
「ん、ああ。そのつもりだったが、良いところでで終わったから、今日は、もうしない。」
「そんなに忙しいのに、態々、時間割いてくれなくても……。」
「まあ、仕事に集中する時は集中する時で、そうするけど、そうじゃない時は、やっぱり、気分転換は必要だし、それが、短時間でも、籐也は気にしないから、……って雫に言われたんだけど。雫と話したんだろ?」
「うん。まあ。それで、想一とも話をしてみたらって。」

「俺、殆ど仕事関係の事しか考えてないから、まあ、頭もカラダもリフレッシュってね。」
「俺と、話して、頭のリフレッシュになるの?」
「俺とか、今まで付き合ってきた人間とかは、あんまり考えないような事だから、新鮮ではあるね。」
「それならいいけど。」

「んじゃあ、取り敢えず、カラダのリフレッシュからいきますか。」

 それぞれ、シャワーを浴びて、本当に、比較的、散らばっていない、寝室兼プライベートルームに向かう。
 それでも、ベッドのすぐ傍に、紙が数枚あって、手にとってみると、簡単な図と、俺には意味不明の記号としか取れないような、多分、文字が書かれていた。
 この文字って、後からみて、本人は判読できるんだろうか。

「これ、仕事の?」
「ん、まあ、そう。思いついた時に、紙とペンがあると、その時に書き留めておきたいからね。」
「この文字って、想一は、自分では読めるの?」
「読み取れない事も、多々あるよ。それで、諦める時もあるし、雰囲気で、こんな事を書いたんだろうと、思い返す事もある。もう少し、読めるように書けばいいんだけど、その時の思いつきだから、どうしても、こんな感じになってしまうんだ。本当に覚えておきたい事は、きちんと、まあ、汚いけど、読める程度には書いてるよ。」
「プライベートルームまで、仕事、持ち込んでるんだね。」
「まあ、俺にとっては、仕事もプライベートの一部だから。でも、今は、そんな事関係ないでしょ。」

 想一は、そう言って、唇を重ねてくる。
 今は、それを考える時間ではない。
 薄く唇を開いた所で、舌を絡ませ合って。

「……ふ……」

 舌を絡ませながら、唇を唇に押し当てて、より深く、口腔内を舌で探り合う。
 そうしてまた舌を絡ませる。
 離れた唇が、俺の肌に触れてきて、指先と舌で、感じる場所を、刺激されていく。

「…ん……ぁ……想一……」

 乳首を摘み上げられて、その刺激に快感に敏感になって、尖っていく。
 それを、更に指で弄られて、舌で触れられ、軽く歯を立てられる。
 研ぎ澄まされた神経は、ただ、その感覚を快感として受け止めている。

 そして、勃ち上がりかけているペニスを口に含まれて、その快感を煽られる。
 舌で、唇で、ペニスを扱かれ、吸い上げられる。

「は……んん……あ……イイ……想一……」

 俺のアナルに想一の指が触れられ、ローションの滑りを借りて、挿入されてくる。
 入り口を広げられながら、内壁を刺激してくる。
 受け入れる事に慣れてきているアナルに指が、もう一本、もう一本、と挿入され、解されていく。

 指が抜かれて、代わりに、ゴムを着けて、ローションが垂らされたペニスを挿入してくる。
 俺は、その質量を受け入れようと、大きく息を吐き、出来るだけ、カラダの力を抜く。
 そうすると、想一のペニスが、奥まで入って来る。

 抽挿が開始されると、受け入れる為に力を抜いていたアナルを今度は、想一を感じさせる為に、締め付ける。
 想一は、想一で、俺の感じる場所をペニスで、擦り上げてくる。

「んん……ぁ…あぁ…!……ん……はぁ……」

 突き上げられる速さが、増して来る事で、俺の快感もどんどん溢れて来て。

「あ……はぁ……ん……イイ…!…ぁ…ぁあっ……!」

「籐也…そんなに、締め付けたら、もう……」

「ん……俺も、も……イきそう……」

 突き上げられながら、ペニスを手で扱かれて、もうすぐそこまで射精感が迫っていて、俺は、アナルを締め付ける。

「ぁ……イ…く……!あぁっ…!……ぁ!」

「籐也……んん……っ…!」

 2人とも射精して、その一時の区切りを向かえる。
 けれど、吐精して尚、想一が、口付けを求めてくる。
 俺も、それに応じて、お互いのカラダの熱が、再び昂ぶってくる。

 想一を組み敷いて、その肌に愛撫を加えていく。
 勃ち上がり始めたお互いのペニスを、扱き合って、その硬度を確実なものにする。

 アナルを解してから、ペニスを想一に挿入し、抽挿し始める。
 想一のアナルの締め付けを感じながら、内壁を突き上げる。

「んん……ぁ……イイよ……籐也……」

 快感の波に飲まれて、再び、欲望を放った。
 行為の後の、特有の気だるさにベッドの上で、寛いでいる。

 セックスして、はい、さようなら、って訳じゃ、ないんだよな。
 その方が、気楽だと思ってたけど。
 馴れ合ったり、じゃれ合ったり、そういう事もしないけど。

「想一はさあ、生きてるのが嫌になったり、辛くなったりする事ってある?」
「無くはないけど、まあ、それでも、生きてるんだから、仕方ないよな。」
「それはそうなんだけどさ、それ以上に考えちゃうんだよね。」
「仕方がない、で済まされる事もあるけど、そうじゃない事も、沢山あるからな。籐也にとっては、重要な事なんだろ。」

「重要……っていうのも、何か違うような気がするんだよね。俺は、多くの人間の感覚を、どうしても受け入れられなくって、その他人の感覚も嫌だし、そういう風に感じている俺自身も、やっぱり嫌なんだ。」
「俺も、あんまり、他人と協調性がないというか、あ、一応自覚はしてるんだよ、それでも、まあ、俺なりに生きていくしかないからな。一般社会とずれながら、それでも俺と籐也では観てる世界が違うんだろうな。」

「俺は、受け入れられない、社会の一般的な常識を嫌いながら、いや、嫌ってるから、それを、意識してしまうんだよね。だから、想一が、そこからずれているのがわかるし、ずれているから、拒否反応が起こらないんだよね。」
「拒否反応、か。籐也は、社会から拒否されていると感じるの? それでもって、籐也の方も拒否反応を起こしてしまうのか。」
「俺が、一方的に感じているだけなんだろうけど、受け入れられない、拒否される、拒絶されている、と思ってしまう。」

「俺は、あんまり言葉にするのが得意じゃないからなぁ。でも、籐也は雫に、俺と話してみた方がいい、って言われたんだろ?」
「想一が、さっき言ったんだけど、『ずれてるけど、観てる世界が違う』って。そういう視点が、俺には必要なんだと思う。」

「必要、か。そう言う事で必要とされた事ないな、俺は。」
「俺が、一方的に想一を必要としてるみたいな感じになってるけど。」
「いや、それは、違うよ。違う……気がする。じゃなきゃ、今日だって、会ってないだろ? 雫に言われたからって、俺は、俺なりに、考えてるよ。」

「始めの方にさ、想一に俺が、『これからも遊んで』って言ったら、『望む限り』って言ったけど、あれって何で? 遊ぶんだったら、他にもいただろうし、実際、政司……だっけか、遊んで欲しそうだったけど。」
「何でだろうな。ただの、遊び相手が欲しい訳じゃないからな。籐也だって、『ただの』遊び相手、としての俺が欲しかった訳じゃないだろ?」
「まあ、俺はそうだけど……。」
「深く考えない俺に、それ以上の答えても無駄だよ。感覚としてしか、捉えてないから。まあ、過去に、何回も失敗してるけど、こいつとなら、上手く付き合っていけるんじゃないかってね。」

 過去の失敗と、これから先の事。
 決して繋がる訳ではない。
 そして、俺自身もどうなるかわからない。
 俺は、雫さんに対話を求め、雫さんも応じてくれた。
 想一に紹介された俺を、多分、雫さんは、想一のそう言う相手だと知っているのだろう。
 そんな俺と想一の関係の中に雫さんは、何を見ていたのだろう。
 まだ、他にも、色々、雫さんとも話してみたい。
 それが、一方的にならないように。
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