暴走書家

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あるバーのシリーズ(高校)

ちなみに写真は自分の好みで色々設定させてもらいました。
写真家はゲイだけど、『俺』とは寝てません。
愛人の友人、くらいの設定でしょうか。
写真集は、アメリカで発売され『艶~en~』と言う題名です。
設定を更に設定で語ってどうする、という話ですが。
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 高校には無事合格した。
 最後の一年間真剣に受験勉強したからそれ程酷い成績ではなかったと思う。
 実際、問題を解き終えて、難しいとさほど思わなかった。

 これでやっと実家から解放される。

 けれど、父親の母校。
 父親のイメージがまだ残っている高校に通うことは俺にとって父親のイメージに縛られた三年間を過ごすという事だった。

 俺は、俺で自分自身のブランドを確立したかった。
 この高校では茶道家元の長男、というブランドが確立している。
 でも、高校を出たらもう無縁になるつもりだった。
 一流大学と言うブランド。
 それが、俺の求めるものとなっていた。

 だから、寮での高校生活の殆どは勉強する時間に当てられていた。
 いつも勉強している真面目な奴。
 中学時代までの俺を知っている奴はいない。
 学校に通わず、乱れた生活をしていた事なんて誰も想像もつかないだろう。
 高校時代三年間は本当に高校内では目立たない真面目な奴で通していた。

 教師によって語られる俺の父親の像。
 快活で生徒会長もしていたという。
 俺はそこまで目立つ事はしたくなかった。
 出来れば、地味な生徒でいたかった。

 勉強はするけれど、テストの成績としては目立ちたくなかった。
 業と何問か間違えていつも5位から10位の成績に入っていた。
 成績は良い方だけど、トップになる程でもない。
 そうする事でクラスでも目立たない存在としてやっていけていた。

 名家の子息たちが集う高校。
 それぞれが、それぞれの家を背負ってやって来ていた。
 俺も、外面上は一応その一人だった。

 父親が、生徒会長をしていたという事もあり、担任から生徒会入りも打診さえれた。
 生徒会長なんていう任は重すぎる。
 そこまで表立ちたくはなかった。

 それでも、担任の希望を組み入れて書記として立候補し何とか当選した。
 幼い頃から書道をやっていて字は綺麗だった。
 だから、生徒会の中でもあまり目立たず、字だけが残されるその職があっているような気がした。
 元来、俺が激情型でないからか、他の生徒たちとも温厚に接していられた。
 俺の笑顔も一役買っていたのだろう、常に笑顔を絶やさず、温厚で生真面目な存在、それが俺という生徒だった。

 寮に入っても長期休暇は家に皆、帰って行く。
 俺は一度たりとも実家に帰った事はなかった。
 その頃はもう東京に戻っていた愛人の家で過ごすようになっていた。
 その人も、それを拒まなかった。
 もう、俺に家に帰れとは言わなくなっていた。

 実家も実家で何も言って来なかった。
 今頃は多分、俺への感心は学費を出す事だけで、弟に全て向けれられている事だろう。
 その人に連れられて、同好の趣を持つ者達が集う店にも連れて行ってもらった。
 多分、女性と付き合うことは俺は無理ではなかったと思うけれど、自然とオトコと付き合うようになっていった。

 高1の夏休み、その人に外国人の男性を紹介された。
 その筋では有名な写真家だという。
 日本に興味があって日本の美を撮りたいのだと言う。
 俺はその写真家に気に入られた。
 俺の写真を撮りたいという。
 色白で中性的な美を持っていて、黒い瞳、黒い髪が気に入ったのだと。
 モデル代も出してくれると言う。

 俺で良いのなら、とその任を引き受けた。
 その写真家が俺を撮ったのはかなり倒錯的だと思う。
 朱の紅を唇に引かされて、朱の女物の長襦袢を着せられた。
 黒い長髪のウィッグもつけられた。
 その姿をみせられたが、俺が、女性になったとしか見えなかった。

 『妖艶に』とその人は言った。
 どうやったらそうなるのかわからないが、オトコを誘う目が欲しかったのだという。
 半ばはだけさせられた着物。
 上半身は半裸に等しかった。

 女物を着ながら、当然の事ながら胸などない。
 撮影の回数は何度かに及んだ。
 写真家と、その人は英語で会話している。
 その人は英語が堪能だった。
 俺も、英語で話せるよう、その人に教わって必死で英会話をマスターした。
 写真家とも英語で会話出来るようになったから、聞き取るだけではなく話す方もかなり上手になっていたと思う。

 その写真家とも付き合いが出来るようになり、今までの作品も参考に見せてもらったりした。
 殆どがその写真家の本国、アメリカで取られた少年から青年の写真だった。
 際立って、ポルノと言う雰囲気は受けない。
 芸術なのだと、その写真家は言っていた。
 その種の人間のほかにも、認められているのだからそうなのだろう。
 挑発的な瞳。
 普段の温厚な笑顔からその瞳に変わる時。

 その衣装と、その写真家が俺をそうさせていった。
 その人を伴わなくとも店に行ってオトコを誘う術を身に付けた。

 俺に貞節などと言うものをその人は求めていなかった。
 その人自身も恋人を他に探していたから。
 その人とは、そんな恋愛感情とか束縛感などなく付き合っていた。

 初めはその人になりたくて、法学部を目指そうと思っていた。
 けれど、その人とは、また違う地位を目指したくなって高2になって医学部を目指そうと思った。
 基礎教科は同じだ。
 これから、理系を念頭において勉強していけば良い。

 基礎教科の中でも英語はかなり上達していたのではないかと思う。
 ネイティブの人間と会話を出来るようになっていたから。
 学校は進学校ではなかったから、自分で参考書を買って勉強するしかなかった。
 休憩時間は図書室へ通い、寮に戻ってもまた勉強する。
 学校生活で自分で勉強するという事がなかったら多分、暇をもてあましていただろう。

 勉強以外にその人から、マネーゲームについても教わった。
 その人は、かなり詳しくってそれだけでも一財産築いていると言う。
 俺も、モデル代を元にしてその人に教わってマネーゲームに手を染めていった。
 初めから上手くいった訳ではない。
 けれど、俺にそんな才能が、あったのかというくらい、めきめきと腕を上げていった。

 カラダを売る以外にも俺に稼げる手がある。
 その人と会ってからは他のオトコとは寝ても、カラダを売ることは止めていた。
 だから、マネーゲームは俺の刺激でもあり、財産源ともなっていった。
 その金があったら、実際俺が大学で6年間やっていけるだけは稼げていたと思う。

 これで、実家ともおさらば出来る、その事が嬉しかった。
 マネーゲーム自体は高校の生徒の中でも他に手を出している人間はいたみたいだ。
 何せ金を持っている名家のご子息ばっかりだ。
 企業社長の息子、政治家の息子等など。
 実家が株を持っている家もかなり多い。
 だが所詮(しょせん)、元は親の金。
 その事が、ちょっとした優越感だった。

 もちろん、俺がマネーゲームにいそしんでいるとは他の生徒に気どられるような事はしなかった。
 高校生活も一種のゲームだ。
 温厚で人当たりがよくって、目立たない生徒の『僕』。
 裏で何をやっているかなんて誰も知らない。
 ゲームだと思えば、そんな俺を演じるのも嫌ではなかった。

 高3の夏休みには既に18の誕生日を終えているという事もあり、合宿で車の運転免許も取った。
 免許が取れると、その人の車を練習で運転させてもらったりもした。
 上達すると、その人は俺に『合格祝いだよ』と言って、車を買ってくれた。
 その人自身は高級車に乗っていたけれど、俺自身は高級車に対する憧れもなかったし、そこまで金を俺に掛けてくれるのはもったいなかったので、俺の好きなブルーの国産車を買ってもらった。
 車はその人の家の駐車場に置いてある。

 車の免許証。
 俺自身の身分を示すものが一つ出来た。

 勿論(もちろん)、車の免許を取るのなんて、高校には無断。
 俺の中で、父親と言うイメージを重ねてくる高校に対して秘密が出来て楽しかった。
 思春期真っ只中の高校男児。
 寮を抜け出して他校の女生徒と付き合っている人間もいた。
 全寮制の男子校特有だからか、女性的な俺の顔に刺激されてか、俺に告白してくる生徒もいた。
 変な恋愛感情なんかもって欲しくない。
 面倒な事になりそうだから、体よく断ってはいた。

 多分、俺に告白してくる奴は、俺が他で色んなオトコと寝ている事を知らないのだろうな、そう思った。

 そんな高校生活も、終わりを迎えようとしていた。
 受験も差し迫ってくると、早くは1月から試験が始まってくる。
 高校の授業自体なくなって、自主登校になっていた。

 俺は寮を抜けて、その人の家にいることが多くなった。
 そこから、センター試験も受けにいった。
 本命の大学はただ一つ。
 もし無理だったとしたら、一年バイトをしながら勉強すれば良い、そう思っていた。

 センター試験を終えて、前期試験が始まるまでの間、勉強しながら、息抜きに店にも通った。
 そこである日、俺は『その人』とは異なった『あいつ』と運命的な出会いをするようになる。


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