暴走書家

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『まやかしの共有-5-』

「あ、まだこんな時間か。」
 想一が、時計を見てそう言った。
 それにつられて、俺も時計に目をやったが、待ち合わせてから想一が遅れること15分、そして、道に迷った挙句に辿り着いた事を差し引いても、実際に話をしていたのは、小一時間位だろう。

 時間を過ごす時、ほんの数分間が、とても苦痛で、長いように感じられる場合もあるし、俺自身は、あまり経験が無いが、楽しくて楽しくて、ついつい話し込んでいる内に知らず知らず何時間もある。
 独りでいても、ネットを徘徊したり、本を読みふけっている内に、いつの間にか、時がかなり経過している事も。
 TVを観ていても、その放映時間は決まっているから、はっきりと、どれくらいの時間、というのはわかるのだが、その番組の退屈さや、面白さから、感覚として受ける時間は異なる。

 今日は、俺自身、言葉につまりながら話したし、雫さんの口調も、ゆっくりと穏やかだったから、かなり長い時間話をしていた気がするのだが、実際はそうではなかった。
 ある程度のところで、区切ってくれたから、疲れたという感じもないし、時間的に短かったけれど、不満は残らない。

 話をするには、時間を掛ければ良い事もあるけれど、では、時間が長ければ長い方がいいか、その方がより深い話が出来るか、というとそうではない。
 時間的に短くても、端的に話した方が、わかりやすい事もあるし、もちろん、時間の都合上、短時間しか取れなくて、会話が途中で終わってしまう場合もある。

「今日は、ここに来るのが目的だったけど、折角会ったから、俺、まだ時間余裕あるし、籐也も時間大丈夫なら、家来る?」
「ええ、まだ、この時間なら大丈夫ですけど。」
「ここからだと、どうやって帰るのが、一番速いんだっけか。」

 携帯電話を片手に、路線を調べているようだ。
 そこへ、先に席をはずした、雫さんがやって来て、声を掛けてくる。

「想一の家で構わないのなら、私が、車で送りましょうか? 私ももう帰りますし。」
「車? 飲酒運転じゃないか。」
「私は、一滴もアルコールを口にしてませんよ。少ししたら、表へ出待っていて下さい。車を回してきます。」

 そう言って、雫さんは、店から出て行った。
 俺達も、会計を終え、店の外に出る。
 脇道に入ったその店から、車の通れる道まで出て、待っていると、やがて、雫さんが車でやって来た。
 俺達二人を、後部座席に乗せると、そのまま車を発進させる。

 想一の家に着くまで、雫さんも、想一も、俺も一言も発しなかったけれど、それが特に、気不味いと言う事はなかった。
 到着すると、そこで、俺と想一は、雫さんの車から降り、送ってもらったお礼を言って別れた。

 想一の家の中は、この前来た時もそうだけど、相変わらずといえば相変わらずだ。
 多分、ずっとこんな感じなのだろう。

「想一ってさ、こういう状態の家に、恋人とか呼んでたの?」
「んー、まあ、時と場合によって。まあ、でも、大抵呆れられるよね。でも、俺、これ以上片付けられないし。一回、見るに見かねた相手に片付けられた事あったけど、確かに綺麗になったんだけど、俺が、その状態を保てるはずもないし、その前に、他人が片付けたから、何がどこにあるかわからなくなって、結局、片付ける以前以上に散らかった状態になって、で、見捨てられた。」

「はあ。俺は、想一程、散らかしてないけど、他人に家に来られるのは、嫌。でも、これだけ、散らかってても、呼べるところは凄いよね。」
「まあ、これが、俺の素だから、どうしようもないし、あんまり変に幻想持たれても、それを叶えるのは、俺には出来ないし、その上、かなりの面で、恋人より、仕事を優先させるもんだから、俺は、結局、振られるのね。」

 そうだよな。
 初めて会った時もそうだけど、想一の見た目からは、こういう状態って、あんまり想像出来ないんじゃないんだろうか。
 俺は、それに対して、期待をしていないから、多少は呆れても、受け入れる事は出来る。
 そういう意味では、俺は、現実的な気がしてくる。

 それでまあ、俺が、想一の家に来てスる事は一つしかない。
 まあ、想一とは少し話もするけれど。

 シャワーを浴びて、ベッドに向かって、カラダを重ねる。
 想一から誘うように開かれた口に舌を差し入れて、口付ける。
 絡ませてくる舌に俺の舌を絡ませて、お互いの舌の感触を味わう。
 俺の口の中に入ってきた、舌を少し強く吸い上げて。

「…ん……」

 それから、想一の肌に口付けを落していく。
 指を這わせて、乳首を摘み上げ、刺激する。

「…ぁ……ん……」

 硬く尖ってきたそこをさらに刺激していると、想一の口から、声が漏れて。
 想一が、俺のペニスに触れてきて、ゆっくりと扱いてくる。
 俺も、想一のペニスに手を伸ばし、扱いていく。

 ある程度、勃起した段階で、体勢を変えて、お互い相手のペニスを口に含んでいく。
 その口淫によって、更に硬度を増していく。
 俺は、そのままローションに手を伸ばし、想一のアナルに指を挿入させていく。

「ん……籐也……もう、いいよ……」

 指で解したアナルにペニスを押し当てて、挿入する。
 そして、ゆっくりと抽挿を開始した。

「あぁ……は……ぁ……ん……あっ……」

 アナルに締め付けられる快感を味わいながら、内壁を突き上げる。

「……ぁあ…!ソコ…!イイよ……籐也……」

 想一のペニスに触れると、張り詰めたそこからも、限界が近いことがわかる。
 内壁を擦り上げながら、ペニスを扱き、射精を促す。

「んん……ぁ……も……イく……!」
「俺も、もう……」

「ぁ…ああ!…ん…ぁ!」
「ん……くぅ…!」

 そうして、お互い、達していた。

「想一も、シてくれるでしょ?」
「そこは、お望み通りに。」

 少し、落ち着いてから、再び、カラダを重ね、ペニスが硬度を増していく。
 想一の愛撫を受け入れ、快感を追い、相手に快感を与える以外に、今は、何も考える必要はない。

 アナルに想一のペニスを受け入れて、抽挿に身を任せる。

「…はぁ……あ……あ……想一…ソコ…!」

 ちゃんと、感じる場所を突き上げてくれて、俺も、アナルを締め付けて、想一に快感を与えようとする。
 そんな快感を我慢する必要もなくて、俺達は、再度絶頂を迎えた。

「想一に、あのバーを紹介してもらって、嬉しいけど、知り合ったのが仕事上、っていう割りには、雫さんの事よく知ってるんじゃないの? 関わった仕事が、ゲイバーだったから?」
「俺が、あの店の仕事の話を持ちかけられた時は、独立しようかどうかと考えてた頃で、その時は、まだ、今程はゲイだって事は、殆ど公にしてなかった。確かに、あそこはゲイバーだけど、かなり特殊だから、そういう仕事が出来る人間を雫は探していたんだと思う。雫は、自分がゲイだって事は、かなりオープンにしている。あの店じゃなくて、他でも。雫は、だから、俺が、ゲイだって知ってて、仕事を持ちかけたんじゃない。実際、他に関わっていた人間で、ゲイじゃない人間もいたし。」

「そういうのって、受け入れられるものなの?」
「仕事としてみれば、割り切って受け入れられる、という事もあるだろう。実際、それが受け入れられる人間が携わってたんだし、それでも、受け入れられない人間に雫は、無理強いはしないだろう。」
「それでも、ゲイだって事で、拒否されるのは、怖いんじゃない?」
「雫は、そこのところはちゃんと覚悟している。受け入れられても、ちゃんと理解されている訳じゃないって事も。」

「それでも、言える、って凄いよね。まあ、俺の場合は、それ以前の問題が色々あるけど。」
「仕事をしていれば、ある程度信頼関係が生まれる。そんな中でかな、俺も、ゲイだって、雫に言ったのは。仕事の間は何もなかったよ。開店した後かな、雫に誘われて、俺達は、少し付き合った。雫が、唯一だな。俺の方から、別れを切り出したのは。」
「別れた理由を聞くなんて野暮だとは思うけど、何でなの?」

「恋愛は、お互いの共同幻想だろ? 俺は、その時も、本当に自分のペースを崩さなかったけど、雫は、無理して、じゃなく、そのペースに合わせてくるのが上手い。はっきりと言葉にした事は無かったけど、その態度とか、配慮から、雫に愛されている、と感じる事が自然と出来た。付き合っていく内に、次第に見えてくるものもある。雫の仕事面での顔と、プライベートでの顔と両方知っていたけれど、それでも、尚、雫には絶対的に俺には踏み込めない領域があった。まあ、過不足なく付き合っていく事は出来ただろうけど、俺には、恋人として付き合っていく事は、もう出来ないと思った。それを、雫は受け入れた。」

「それでも、今でも、普通に付き合っていけてるんだね。」
「不思議だけどな。仕事面では、まあそういう事もあるけど、友人としていた方が、見えてくる事もある。機転の上手さだとか、思慮の深さとか、多分、色々な経験に基づくものなんだろうけど、だから、籐也にとって、話を交わす相手として、ある程度は、役に立つんじゃないかと思って、紹介した。あの店も、籐也に合うんじゃないかと思って。」

「まあ、実際そうだよね。雫さんと話していると、会話の仕方とかも、上手いよね。諭されるのとは違う、悩みを悩みとして引き出してくれる。想一もそうだけど、雫さんも、俺が、今まで会った事のない人だ。」

 幻想の海の中で、独りで溺れ、足掻いている事しか出来なかった俺に、泳ぎ方を、それとなく告げてくれる人。
 それぞれ、違う存在だけれど、いや、違うからこそ、今、学べる事を学んでおこう。
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