暴走書家

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『まやかしの共有-3-』

 また遊んでくれる、そう約束した、その時に、お互いの携帯の連絡先を交換した。
 今回会ったのでも、想一はかなり疲れていた様子で、本人も、何日か殆ど寝ていない、と言っていた。
 そんな、想一に会う約束を取り付けるのには、ある程度自由度をもった、携帯メールの方が良い。
 空いた時間に用件を見れば良いし、返信するにしても同じだ。

 忙しい想一にとっても、携帯に時間を束縛されたくない俺にとってもその方が良い。
 次に誘いを掛けるのはどちらなのだろうか。
 始めに俺に声を掛けてきた想一か、それとも、これからも、会ってみたいと思った俺からなのだろうか。

 どこに居ても、居場所を見つける事が出来ない俺。
 独りでいる時でさえ、自分を見失ってしまう。
 勿論、独りっきりの時が、気は楽なのは楽なのだが、変に頭を動かして堂々巡りの考えを持ち込んでしまう。
 自分探し、居場所探し、何て事をやってみたとしても、どこにも辿り着く事はなく、うろうろするのはわかっていたし、実際繰り返してみると、愚かな事をやっている気になってくる。

 会社に行って、誰とも殆ど馴染めずに、それでも、付き合い程度に誤魔化して、愛想笑いをして、相手の気分を害さないように適当に相槌を打っている。
 仕事上、必要最低限の会話、というのはわかる。
 けれど、それを超えた範囲で、必要な会話は、どれくらいあるのだろうか。

 一見して不必要に見えても、趣味が合うもの同士なら、その趣味、趣向について語るのも、必要な事なんだろう。
 滅多に他人の会話に付き合う事は無いのだけれど、たまたまその場に居合わせてしまって、俺自身が全く興味のない、最近流行っている映画について、『あの映画が面白かった』『あの映画に感動た』『絶対面白いから、観てみて』なんて話されても、こういう会話のノリに着いていけないし、そして多分、その感覚を共有する事は出来ないんだろうな、と感じている。

 そして、俺の趣味、って何なんだろう。
 これ、って思い当たるものが無い。
 『趣味の一つや二つ持っていたほうが、人生楽しい』
 と言われても、その楽しい、と思える事がないのだからしょうがない。
 産まれてしまったからには、生きていくしかなく、その為には、お金が必要だから働く。

 就職活動をしている時は必死だったが、いざ内定が出て、これから社会人になってしまうんだ、思ったとき、その事実に愕然として、このまま死んでしまいたい、という願望が生まれて来た。
 『生まれて来た命を粗末にするな』、とか、『両親の気持ちを考えろ』、とかいう以前に自殺する勇気さえ起こす事が出来ずに、そのまま今も生きている。
 それを『勇気』と呼ぶのはどうかと思うが、俺にとってはそうだった。
 いずれは死ぬ、とわかっていても、今、生きている事実には変わりなくて、それがいつまで続くんだろうか。

 まあ、俺が死ぬまで続くんだろうけど。
 確証は無いのだけれど、夜が来れば次には朝が来て、朝が過ぎればいずれまた夜になる。
 そんな一日一日の繰り返し。
 じゃあ、何かしら、変わった事が起こったらいいのか、といったらそうでもない。

 辛さの程度を測る事となんて出来ないけど、『どんなに辛い夜でも、やがて朝が来る』そう言われても、ピンと来なくて、朝は朝でまた辛いのではないのか、と思ってしまう。
 それはまだ、俺が辛い思いをした事がないからなのだろうか。
 じゃあ、どうやったら、辛い思いが出来る?
 苦い経験が出来る?
 そこに、踏み込んでいく勇気も無いくせに。

 『社会は共同幻想で出来ている』
 というフレーズを読んだ時に、ああ、そうだったのか、と納得した部分もあった。
 幻想に過ぎない人生、それに安堵したのと同時に、虚しさを覚えた。
 そして、俺自身が『共同』出来ないという事。

 そんな事ばっかり考えていても、やはりしょうがなくって、想一に会いたくなって、メールを送ったけれど、『悪いけど、その日は、都合が悪い』という返事が来て、結局会えなかった。
 その後、再度、同じような内容と、それに加えて、都合が付きそうな日があったら、連絡が欲しい、という旨を付け加えて、送った。
 結局、その日も都合が悪かったらしい返事が来て、もうこれ以上会う事も催促することも出来なくて(だって、本当は、もしかしたら、俺とは会いたくないのかもしれないから)、暫らく、想一からのメールを待ってみて、連絡が来なければ、想一の事は、もう忘れて、誰か、遊び相手を見つけに行こうか、と考えていた。

 のだが、想一からメールがあった。
 『明日の夜なら空いてる』と。
 いや、普通は、いきなり、明日、とか言われても無理だろうに。
 まあでも、俺には、特に予定もなかったし、仕事も押してなかったので、了承の旨を伝えた。
 待ち合わせの場所と、時刻を指定されて、そこに向かう。

 仕事上がりで、夕食がまだだろうから、一緒に摂ろうという事になって、小料理屋に入る。
 想一はそこを行きつけにしていると言う。
 素朴な風味のおかずと、ご飯と、味噌汁はお代わり自由だと言う。

「ここの店、自宅から近いんですか? それとも仕事場から?」
「自宅兼仕事場から、近いから便利なんだ。夜来るとこんな感じで、昼は昼で、定食とかもあるから、結構食べに来る。」
「はあ。ご自宅、ここの近くなんですか。」
「別に、俺の家でも、構わないでしょ?」
「想一がそれでいいなら。」

 そうして、そのまま、想一の家に向かう。
 仕事場を兼ねている、というのだから、まあ、ある程度は広い。
 玄関を開けると、直仕事場、という感じで、やはり、面積としても、結構あるのだろうが、かなり、色んな本やら紙やらが散らばっている。
 パソコンのデスクが2つあって、デスクの上にも、物が色々乗っている。

「まあ、散らばってるけど、足の踏み場くらいあるから、そこら辺上手く避けて通ってね。紙を踏ん付けると、転ぶから。」
 確かに、足の踏み場はあるのだが、そういう問題なのだろうか。
「はあ。気を付けます。」

「部屋は、それ程散らばってないから、大丈夫だよ。」
 まあ、確かにね。
 それ程、ね。
 セックスするだけなら、十分だ。

「シャワーどこです?」
「えっと、廊下出てすぐそこ、右。」
「じゃあ、先お借りします。」
「そのまま、スーツで出て来る訳にはいかないだろ。これ、フリーサイズだから、どうぞ。」
「どうも。」

 手渡された服と、タオルを手に浴室に向かい、シャワーを浴びる。
 そして、スーツを皺にならないようにして、渡された服に着替えるて、寝室に戻る。
 交代で想一がシャワーへ向かう。
 俺も、そんなに綺麗に片付ける方じゃないけど、ここまでじゃない。
 まあ、もっとも、俺の場合、あまり物がないのも事実なんだが。

「なんか、セックスするの凄い久し振りだわ。今日はそんなに疲れてないから、大丈夫だよ。」
 そういえば、俺も、久し振りだ。
 前に、想一を抱いてから、誰ともシてないから。

「籐也……」
 想一が俺の名前を呼び、唇を重ねてくる。
 始めは触れるだけだった口付けが、薄く口を開いて、舌が侵入してきて、俺の舌が絡めとられる。
 俺も、その舌に、自分の舌を絡ませていく。
 舌を少し強く吸われて思わず喉が鳴る。

「ん……」

 想一の指が、俺の肌に降り、乳首をきゅっと摘まれた。
 そうして、弄られていると、次第に感じてくる。

「…ぁ……ん……」

 唇が唇から離れ、俺の耳朶を甘噛みすると、そこから、舌が首筋をなぞってくる。
 その感覚にゾクゾクする。
 弄られて尖った乳首を口に含まれて、舌先で転がされながら、もう片方の乳首を、指で弄ってくる。

「は……ぁ……想一……」

 勃起したペニスを刺激されて、更に硬くなって、想一が俺のアナルにローションの滑りを借りて、指を進入させてくる。

「…ん……ぁ……は……」

 入り口を解してくる指の本数が増えて、受け入れる準備が整ってくる。

「想一、もう大丈夫だから、イれて……」
「俺も、そろそろヤバイかも。」

 そう言って、想一が、ペニスにゴムを被せて、更にローションを足し、俺のアナルに、ペニスを挿入してくる。

「ん……ふ……んん……」
 一旦、根元まで挿入されてから、少し、動きが止まる。

「も、いいよ、動いて。」
「ああ。」

 抽挿を開始され、内壁をペニスで擦り上げられて、たまらない感覚に陥る。
 次第に抽挿が激しくなって、感じる場所を突き上げられて、快感が溢れて来る。

「は……あ……イイよ、想一……もっと……!」

 俺が、欲しいと思っている場所を、突き上げられて、俺も、アナルを締め付けて、想一に快感を与えようとする。
 張り詰めたペニスを手で扱かれて、先走りが溢れ始め、もう、そこまで、射精感が待っていた。

「…んん……あ……あぁ…!イく…!」
「っ…く……」

 俺が達している裡で、想一も少し遅れて、射精した。

 速まった鼓動が、徐々に落ち着いてきて、元のリズムを取り戻す。

「久し振りだし、もう一回、今度は、籐也がシて?」
 その誘惑に抗う必要もなくて、想一のカラダを刺激していく。

 再び頭をもたげ始めたペニスを口に含み、舌と、唇で、扱き上げていく。
 口の中で、硬くなってくるペニスを味わいながら、指を、想一のアナルに挿入して、解していく。

 それから、ペニスを挿入して。
「籐也……もうちょっとこのまま……」
 二度目だから、そんなに我慢できない事はない。
「挿入してる時の、あの締め付けもイイけど、受け入れてる時のこの感覚も堪んないよね。」

 それは、俺もわかる。
 オトコの脈打つペニスを、受け入れる時、そしてその先にある快感と充足感。

「そろそろ、いい?」
「ああ。うん。」

 俺が、腰を動かして、抽挿を始め、想一の裡を刺激していく。

「んん……は……ぁ……ん……あっ……」

 突き上げて、締め付けられて、再び達した。

「籐也はさ、以前ちょっと話しただけだけど、幻想とかに縛られてるの?」
「縛られているっていうか、まあ、そうはそうなんだけど、上手く言えないけど、俺自身が、そんな中で、何で生きてるのか、とか、色々考えてしまって。」
「そういう事って、独りで考えすぎると、凝り固まって、動けなくなるよ。変に頑なな思考に取り込まれるから。」
「それがわかっていても、誰にも話出来ないし、それで、どうしても、行き詰ってしまって……。」

「まあ、確かに。俺は、あんまりそういう話できないしなぁ。……ああ、でも、あいつなら、ある程度は、聞いてくれるかも。」
「知り合いなんですか? でも、想一って、仕事以外は、人間関係ボロボロ、とか言ってたじゃない?」
「まあ、知り合ったのは、一応、仕事上。それに、籐也なら、あの店気に入りそうだから、紹介するよ、今度。」

「……今度、っていつなんですか。」
「いや、本当に、今度は近い内に。向こうには、都合付けさせるから。」
「はぁ……。」

 まあ、あまり期待しないで待っておこう。
 想一の言う、近い内、というのも当てにならないし。
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