暴走書家

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

『この瞬間を永遠に-1-』

 何で、こいつと付き合ってるんだろう、とたまに思う。
 勿論、始終思っていたら、絶対付き合ってる訳ないんだけど。

 こいつと付き合う前に何人か付き合った事があったけど、理由なんてよくわからないまま別れる破目になってしまった。
 誰でも良かった訳じゃない。
 付き合ってた時は、それなりに好きだったし、別れた時はやっぱり辛かった。

 こいつとの付き合いが長いのだって、別に妥協して付き合ってる訳じゃないよ?
 そう、思い返してみれば、今まで付き合った誰よりも長く付き合っている。
 長く付き合っているからかどうかよくわからないが、喧嘩もする。

 喧嘩をするっていうより、俺が一方的に怒っている事の方が多いんだけど。
 別にこいつが悪い訳じゃない。
 それはわかっている。
 でも、俺だって悪い訳じゃない。
 そんでもって、俺が、いくら怒ってもこいつは俺に謝ったりしない。
 まあ、特に悪い事をしている訳じゃないんだから、当たり前っていえば当たり前なんだけど、それが気に食わなくって、何度別れようと思った事か。

 俺だって子供じゃないし、よくよく考えてみれば、俺が腹を立てている理由も、仕方がないといえば仕方がない。
 そんでもって、やっぱり怒ってたけど、そのまま、その事実をなしにする事もできないから、俺の方が、『腹を立ててすまなかった』と詫びを入れる。
 結局は、俺の一人相撲なんだよな。

 だってそれくらい仕事人間なんだぜ、こいつ。
 たまには、恋人として、ゆっくり、どこか、旅行に行きたいと思うじゃん。
 でも、そんな、長期休暇は取れないって一蹴される。

 でも、そんなこいつが、久し振りに早めに上がれて、ゆっくりオフの日を作れる、っていってくれるとやっぱり嬉しくって。
 別にお互い出世に興味があるんじゃないけど、仕事柄こいつは忙しいだけ。
 俺は、中堅会社のサラリーマンで、少なくともこいつよりは忙しくない。
 とういうか、元々、就職する時にそういうところ、選んで就職したんだけどね。

 きっぱり定時に上がれるか、といわれれば、そうでもないんだけど、結構甘い俺の会社は、上がろううと思えば、18:00くらいに上がる事だって出来る。
 もちろんノルマはあるから、あんまり早く上がってばっかりだと、仕事が溜まってくるけど、そこら辺は上手くやってるつもりだ。

 そんな訳で、今日は、いそいそと、帰り支度を始めて、会社を出る。
 独身のオトコが早く帰る理由なんて聞くほうが野暮よ?
 つー訳で、俺は、晩御飯の材料を買い込み、こいつの家に向かう。
 始め、こいつん家で料理をしようと思った時、愕然とした。

 調理器具はまともなのがないし、食器だってない。
 仕方がないから、それから買い揃えましたよ。
 俺が。
 でも、こいつに請求書は送ってやったけどね。

 そんな訳で、今は一応、まともな料理が出来るくらいの器具が揃ってる。
 うーん、今時のスーパーって単身者にも優しいのね。
 材料も、小分けして売ってくれるもの。
 俺が使い切らなきゃ、こいつは、絶対に料理なんかしない。
 泣く泣く、材料をゴミ箱息にさせるなんてもったいないでしょ?
 だから、一辺に使いきれるくらいしか買わない。

 野菜とかまともに食ってないだろうな、と思って、緑黄色野菜たっぷりの炒め物。
 調味料は、すぐに腐ったりしないから、塩とか醤油とか湖沼とかそんな単純なものだけど、食える味付けにはなるよ。
 そんでもって、コンソメ味でたまねぎのスープを作って、っと。

 なのに、お・そ・い!

 今日は早く帰れるって言ったじゃないか!
 料理冷めちゃうよ。
 レンジで温めればいいんだけどさ、作り立てとはやっぱり美味しさが違うんだから。

 待つこと2時間。
 やっと帰ってきた。

「帰り際に、急に担当の患者の容態が変化しちゃって、目が離せなかったんだ。」
「連絡出来ないのはわかってるけどさ。で、大丈夫だったの? その患者さん。」
「ああ。落ち着いたよ。だから帰って来れたんだけど。」
「すぐ温めるからさ。お腹減ってるでしょ?」
「ありがとう。」
「本当に、俺が来ない時何食べてるの?」
「ちゃんと、そこら辺で適当に買って食べてるよ。食べないと体力持たないからね。」
「でも、絶対、栄養偏ってるでしょ。そういうの、医者の不養生、って言うんじゃないの?」
「大丈夫だって。俺の病院の職員食って、結構しっかりしてるんだよ。」

「疲れてない? 大丈夫?」
「大丈夫。栄養ドリンクも飲んできたし。」
「それって、気休めって言ってなかった?」
「気休めでも良いんだよ。折角、製薬会社さんがただでくれるんだから。一応、ビタミン類もしっかり入ってるんだよ。」
「まさか、それに頼ってない?」
「そんなこ事ないって。それよりお前こそ大丈夫なのか? 俺に合わせて、平日に休み取ったりして。」
「有給余ってるからね。いいんだよ。うちの会社甘いし。つーか、そうでもしないと、琢磨たくまと一緒にいられないじゃん。」
「俺が気にするだろ、章吾しょうごにばっかり気を使わせて。」
「珍しく愁傷じゃん。」
「茶化すな。」
「大丈夫だって、俺だって、俺の都合を潰してるわけじゃないんだから。」

 もし、どちらかが、何かを犠牲にして付き合っていたなら、上手くはいかないと思う。
 少なくとも俺にとってはそうだ。
 何だかんだ言っても、琢磨に仕事をないがしろにして欲しくなかったし、俺だって、俺の都合を犠牲に払ってまで付き合ってやれる程お人好しじゃない。

 琢磨は患者の事を第一に考えているし、俺は、そういう琢磨の職業意識は嫌いではない。
 私生活がどうであろうと、琢磨の医者としての態度は、立派だと思う。
 人の命を背負っているという、そういうしっかりとした責任感をきちんと持てる琢磨は、やっぱり医者として向いているんだろう。

「今夜は、ゆっくりできるんだろう?」
「ああ。」

 そうして抱き合ったのは久し振りだった。
 深く、口付け合うのもやっぱり久し振りで。
 そして、これからの事を考えると、それがやっぱりいつの事になるか分からないから、求められる時に求めておく。

「ん…ふぅ…」

 息苦しくなるほど、舌を吸い上げられて、それから、絡め合って。

 普段は、メスを握っている指で肌を愛撫される。
 その少しひんやりとした指は、火照ってきたカラダには気持ち良かった。
 そして、触れてくる舌先はやはり温かくって、その温度差がなんとも言えない。

 久し振りだからか、俺のペニスが昂ぶってくるのが早いような気がする。
 そして、それは、琢磨も同じことだった。

 お互いの昂ぶったペニスを擦り合わせ、その手で握って、一度目の射精を向かえる。
 それだけで、足りない程、飢えていたのは、俺も琢磨も一緒。

 琢磨は俺のアナルを解しながら、お互いの口淫でペニスを昂ぶらせていく。
 そうして、十分に硬さを持ったペニスを俺のアナルに挿入してきた。
 一度、始めに放っている分、それ程、その行為は性急ではなくて。

 でも、だからって、余裕があった訳ではない。
 求める時は、求める時で、それを隠す必要なんてないから。
 琢磨が俺を求めるように、俺も琢磨を求めていて、それを実感できる時は、嬉しいんだって。

「ああ……ぁん…んん…あ!」

 感じるまま、自然と漏れてしまう声を押し殺す気なんて全くない。

「章吾……」

「琢磨…あ……イイよ……もっと……欲しい……」

 それでも、その瞬間をずっと、感じている事が出来ないのはわかっている。
 突き上げられて漏れ出てくる快感はたまらなく良くって、それを、琢磨に伝えたくって。

「章吾…もう…もたない……。」

「うん。俺も……あ……イ…く…!」

 付き合っている年月を数えてみても、そんなに頻繁に会えたわけじゃない。
 出来るだけ融通の利く俺が、忙しい琢磨に合わせられたら。

 ちょっとぶっきら棒だけど、決して傲慢な人間じゃないって、わかっているから。
 俺が、一人で怒って、不満を打ち明けて、それに対して、何にも言わないのは、言葉で繕ったって、 結局はどうする事も出来ないから。
 そんな俺が、多分、琢磨を困らせているっていうのはわかってる。
 だから、俺から、謝ってしまうんだって。

 言葉が足りなかったら、何で補ったらいいかなんて、わからない。
 セックスで補えるほど単純事じゃない。
 本当に、必要な何かがわかる時が来るんだろうか。

 こうして、何もなく抱き合っている瞬間もやっぱり大切で。
 その温もりは、確かにあるんだって感じられるから。
 もし、俺達が、このまま、これから先も付き合っていくんだとしたら、どうなっていくんだろう。

 俺達が知らない明日を、誰が知っているんだろう。
 誰にもわかりはしない。
 そして、それはそれでいいんだ。
スポンサーサイト

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。