暴走書家

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『ココロの距離-1-』

 微妙なずれが、二人の間を引き裂いていく。
 全く同じ感覚を持った人間などいないのだから、それをその人のもつ性質の一部として認め、付き合っていくしかない。
 無理して価値観を押し付けても、それは受け入れられるはずもないし、例え、受け入れた振りをしてくれたとしても、どこかで齟齬が出る。
 だから、相手に何も期待してはいけない、と言うのではない。
 それをわかった上で付き合っていくしかないのだ。

 どこまで相手を受け入れられるか?
 それも無理する事なく。

 やはり、人それぞれに相性というものがあり、どんなにココロを広く持ったとしても、現実としては難しい。

 仕事なら仕事で、割り切ってなるべく支障をきたさないよう、踏み込まずに接する事も出来る。

 けれど、個人的な付き合い、友人、恋人、となるとまた話は別だ。
 絶対的に踏み込めない他人の領域はあるものの、ある程度、ココロのバリアをはずして、付き合えなければ、長くは続かない。

 何人かの恋人と、そうやって付き合い、そして、別れを迎えてきた。
 基本的に、俺から怒る事はまずない。
 相手が、一方的に怒って、別れていくか、それとも、何となく二人の間が上手くいかなくなって別れていくか、どちらかだ。

 そして、つい先日、俺は、恋人と別れたばかりだ。
 どんな別れ方をしたとしても、それなりには落ち込む。
 別れられて清々した、なんて思った事はない。

 結果的に別れた事によって、ココロの咎がどこかでとれたとしても、俺なりに、真剣に付き合っていたつもりだった。
 それが、相手に対してどう取られていたか、それは俺に知る由もない。

 先日まで付き合っていた相手は、浮気をしていた。
 俺が、じゃない。
 相手が、だ。
 それが、いつから始まっていたのかはわからない。
 けれど、後半になってくると、それは、もうあからさまだった。
 浮気したがるオトコ。
 浮気をされるオトコ。
 浮気はオトコの甲斐性だとか、浮気される方にも問題があるとか、色々言われるけれど、結局のところ、本当はどうなのだろうか?

 それに対して、何も言わなかった俺に、怒ったのは、相手の方だった。
 それは、あいつなりの俺へのサインでもあった。
 しかし、どうしてそれを、正確に受け止められる?
 人間はエスパーなんかじゃない。
 気持ちを察しろなんて言う方が無理なのだ。

 浮気をしておきながら、それをとがめて欲しいなんて、そんな風に言われても、俺には出来なかった。
 それを、あいつは、俺が本当に好きじゃないから、そう言って片付けた。
 本当に好きなら、嫉妬して、怒って、咎めるべきだったのだろうか。
 もしそうしていれば、まだあいつと付き合っていただろうか。
 でも現に、俺のココロを疑い始めた時点で、もう、俺達の関係は終わっていたのだろう。
 本当に好きなら、それからも一緒にいたいのなら、もう二度と浮気なんかしないでくれと、懇願すればよかったのだろうか。
 それもまた、俺にとって無理な話だ。
 俺のプライドが、邪魔をするからじゃない。
 俺の性質上、そうなってしまうのだ。

 恋人として付き合いながらも、どこか、冷めている。
 決して好きじゃない訳じゃない。
 相手の事を尊重していない訳でもない。
 けれど、人によっては、そういう俺の性格は、不満の種に繋がるらしい。

 肉欲に従って、その場限りの関係を、楽しむ。
 確かに、そういった時もある。
 だが、それだけで満足できるか? と言われるとそうではない。

 もっと、昔の俺なら、そうしていたかもしれない。
 でも、一人のオトコに会って、俺は、少し生れ変わった。

 ふとした折に、そのオトコの事を思い出す。
 あいつは、今、幸せにやっているだろうか、と。

 あいつとの事は、大切な思い出だ。
 そう、思い出。
 それを、忘れようとは思わない。

 今の、俺がいるから。
 人間関係に、何もかもを諦めようとしていた時、俺はあいつと出会った。
 そうして付き合っていく中で、それぞれの想いに卒業を迎えた。
 卒業とは、新たなる旅立ち。

 お互い、幸せになれればいいね、と、別れを告げたあの日。
 その幸せのカタチはどこにあるだろう。
 そこに、ゴールがある訳じゃない。
 カタチないものを求めて、人は生きる。

 どんなに些細な事でもいい、人生に潤いを与えてくれる幸せを。
 待つだけでは、何も変わらない。
 けれど、稀に降って沸いてくる事もある。
 動くべきか、動かざるべきか。
 その時その時で判断は異なる。
 そして状況も。
 それが、合致するとは限らない。
 運命の神様がいるとしたら、とても気まぐれだ。

 傍から見れば、不幸とも言える俺の過去をどうこう思ってなどいない。
 他人に、哀れんでもらおうとも思わない。

 別れが辛ければ、誰とも付き合わなければいい。
 そんな選択肢を選んだ人がいたとしても、それを臆病だとはののしろうとも思わない。
 ただ俺は、その道を選ばなかっただけ。

 心理学を専攻し、精神分析の研究を続けながら、やはり、人のココロというのは本当に不思議だと思う。
 そして、不思議だからこそ尚、惹かれるのだと。

 残念ながら、ココロについて、色々考えながらも、それを実生活に応用する事は出来ない。
 それは、やはり、俺にもココロがあるから。
 ココロを持つも同士が、付き合っていく為に必要なもの。

 どんなに精神分析の専門書を読み漁ろうとも、それを、現実に当てはめていくには、色々経験していくしかない。
 そこでまた、新たなる事実に気付くだろう。

 フロイドを先駆者とし、心理学は発展してきたけれど、その謎は今尚、完全に解明されるに至ってない。

 駆け引き的な恋愛は、俺には向かないな、そう思う。
 それが一種の醍醐味だとしても。

 そんな事を思いながら、一人の週末の夜を、バーで過ごしていた。
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