暴走書家

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『共犯者-10-』

 いくら背伸びをしてみても、経験は経験の差でしか埋まらない事はわかっていて、だから、いつまでたっても追いつけないものは追いつけない。
 それでも、それを諦めてしまうのには早いんだ。
 同じ道を歩く必要なんてない。
 自分には自分の道がそこにあるはずだから。
 例え遠回りしたように見えても、いつも後ろを追いかけるのではなくて、隣に並んで歩く事も出来るんだって。
 独りで足掻いても、それは中々難しい。
 相手が少し振り返ってくれたら、そして手を差し伸べてくれたら、また一歩先に踏み込める気がする。

 その後またそのコを誘ってみたりしている。
 別に先輩とそのコを別れさせたい訳じゃない。
 辛かったけれど、先輩は俺に人を『好き』になるっていう事を教えてくれた人だから。
 そんな先輩が本気で一途に好きになった相手だから。
 何となく近くで見守っていきたいんだ。
 それでも起きてしまうイタズラゴコロ。
 恋愛に障害や秘密はつきものでしょ?
 その方が、もっと楽しいものじゃない?

 誘惑されたココロはそれなりに楽しめるって。

 俺一人では無理だったかもしれない。
 独りで強がっても、どうしようもなくて、いつか時がたてば忘れさせてくれるかもしれないとずっと思っていたけど、中々そんな時はやってこなかった。
 でももしかしたら、あのままでも、再び立ち上がれたかもしれないけれど、そんな事はわからない。

 そのコに関わることで、先輩との事をどうしようと思った訳でもない。
 少しは思っていたのかもしれないけれど、後で考えてみるとやっぱり違うという事に気付いたのだ。

 その日は、そのコはバイトが入っていないという事で一緒にご飯を食べる事にした。
 先輩はここ数日忙しいらしく、会えないそうだ。
 別に、そのコのことを脅して、誘った訳じゃないよ。
 俺自身、あんまりしゃべる方じゃないし、そのコの方もおとなしい。
 会話が弾む訳じゃないけど、一緒にいて心地悪いと感じない。

 寂しさに任せて、カラダを重ねた事はあったけど、このコとはそんなんじゃない。
 なんていうか、とても好奇心をそそられるのだ。
 このコが俺に向けている感情は何なのだろうか。
 それもとても不思議で。
 先輩のように遊びで色々な人間と寝るタイプの人間ではない。
 だけど、実際俺の誘いには乗って来て。

「時間大丈夫なんでしょ? また俺の家行こう?」
 どうやって断ろうか、悩んでいるのだろうか?
 でも拒否はして来ない。
 そして、そのまま俺の家へと向かった。

「直哉さんは何で俺なんか誘うんですか?」
「昭人くんこそなんで俺の誘いに乗ってくるの?」

「……」
「……」
 お互い答えない。
「その後どう? 先輩とは上手くいってるの?」
「……何とか。」
「でも不安はあるんだ。」
「不安じゃなくなる日って来るんですかね?」
「さあ、どうだろうね。俺は別に先輩と付き合っていた訳じゃないから。」

「ごめんなさい。」
「良いって。今はもう気にしてないから。それとも昭人くんの方が気になるのかな? 俺の事が。」
「うん……なんとなく……」
「やだなー、そんな可愛い事、言われちゃったら。」
「!!!だから、可愛いいって、そんな!」
「んー、俺のどこが気になるの?」
「やっぱり、亮一さんには直哉さんは『トクベツ』だから……。」
「でも、今、先輩の『一番』『トクベツ』なのは昭人くんだよ? それに、俺も昭人くんの『トクベツ』でしょ?」
「『トクベツ』ですか……」
「気になるんでしょ?俺の事。もっと気にしていいよ……」

 その答えを待たずに、俺はそのコに口付けた。
「んふ……」
 いきなり唇をふさがれたそのコの鼻から息が漏れる。
 顎を持ち上げて、舌を滑り込ませ深く口付けた。
「もしかして、俺と先輩の事比べてる?」
「え……そんなことは……」
「別に良いよ、どっちでも。」

 俺は愛撫を再開し、跡が残らない程度に鎖骨を甘噛みした。
 それから手をゆっくり下へおろしていく。

 勃ち上がりかけたペニスに手をやり、指を絡ませ扱いていくと次第に硬度を増していく。
「ちゃんと、感じてるよね。」
「…ん……。」
「ねえ、興味ない? 先輩が抱いた、俺のカラダに。」
「…え……?」
「良いよ。昭人くんは、俺に任せておいてくれれば。」

 俺は、硬くなったそのコのペニスにゴムを被せた。
 それから、ローションを手に取り、俺自身のアナルを自分の指で解していく。
「あ、あの、直哉さん?」
「……ん? 何?」
「えーっと、その。」
「大丈夫だって。言ったでしょ? 俺に任せて、って。」

 そのコの上に乗っかり、勃ち上がっているペニスにめがけて、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「ちょっ……直哉さん。んん……」
「駄目だよ、すぐイっちゃあ。そのまま、突き上げて……。」
 腰を動かし、上下させる。
 中にそのコのペニスを感じながら、自分の手で、自分のペニスを擦り上げる。
「…ん…く…ん……あ……はぁ……」

「直哉…さ…ん…あ……んん……も…ダ…メ…イ…きそう……」
「も…少し……」
 腰の動きを早くし、自ら絶頂へ導こうとする。

「駄目……直哉さん…も…イく……」
「ん……俺も……」

 先にそのコが俺の中で射精して、俺もその後、精を放った。
 そのコの腹の上に出してしまった精液をティッシュで綺麗に拭き取っていく。

「直哉さんって……何か信じられない。」
「え? 何が?」
「だって……。」
「ヨくなかった?」
「いや、そうじゃないけど。う……恥ずかしい。」
「そんなに恥ずかしがる事ないじゃん。」
でも……とまだぶつぶつ言っている。

「また一つ、先輩に秘密が出来たね。」
「そんなに面白がらないでください。」
「昭人くんは、楽しくないの?」
「~~~楽しかったら良いんですか?」
「でも、楽しくないと嫌じゃない?」

 だからさ、そんな反応しちゃダメだよ。
 もっとちょっかい出したくなっちゃうよ。
 あんまり深入りしすぎると、やっぱり火傷しちゃうからね。
 火遊びはこれくらいにしておこうかな。
 今後の事なんてわからないけどね。

「今度さ、三人で食事にでも行こうよ。」
「ええ!?」
「純粋に食事だって。」
「う……はい。」

 いつだって、人の感情を置き去りにして、時は過ぎ去っていく。
 その無慈悲さに戸惑い、不安になり、傷付く事もある。
 傷付くのは怖いけれど、そこで留まっていたら何も出来ない。
 例えもっと傷つく事になったとしても、前に進みたいと思った。

 そのコといたって、もう感じるのは先輩の影じゃない。
 俺たちが、何を求めてセックスをしたのかはわからないけれど。
 でもそんな理由なんでもいいじゃん?
 『好き』にもいっぱい種類があって、それがどんな『好き』かなんて、明確な線引きなんてない。
 ただ一言、『好き』っていうのにも色々あるんだって。
 『愛』だとか『恋』だとか、それとも別のものなのか。
 ただ、俺が感じるままに生きるしかないんだって。
 『タイセツ』だと思えたものを大事にしながら。

 どんなに頑張っても、『俺』は『俺』でしかいられないという事。
 それがどんな『俺』だって、『俺』自身が付き合っていかなくっちゃいけないんだ。



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