暴走書家

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『共犯者-7-』

 オトコの家の合鍵を貰ってもすぐに使う事は出来なかった。
 ただ単に差し迫った仕事があったから、という訳じゃない。
 やっぱり、踏み出すのには勇気が要った。

 それでも、やはり自分の家で夜を過ごすのが怖かったから、店に向かって、他のオトコと寝たりしていた。
 やっぱり、これは、あのオトコに対する裏切りになるのだろうか。
 そういえば、この間別れた時、次の約束をしていなかった。

 先輩とそのコの間はまだ完全に上手くいった訳ではないようだ。
 ただ、何となく、俺の中で、先輩に対する態度も、そのコに対する態度も少し変わったような気がした。
 なんというか、そのコに対して、同情というか、よくわからない感情を持ち始めていた。

 一週間経っても、そのオトコから連絡はなくて。
 仕方なしに、俺の方から出向いて行った。
 日中は、電話しても良いって言ってたよな。
 そう思って、16時ごろ、携帯を手にとって、電話を掛けた。
 数コールして、オトコが出た。

「もしもし。直哉くん?」
「あの……今日行っても良いですか?」
「ああ、うん。僕は、21時30分位になると思うから、良かったら先に家に来ててくれて良いよ。」

 オトコは、自分を待っていてくれたのかな?
 先輩とは全然違うタイプだけど、よくわからない人間だ。
 この気持ちは、先輩に対する『好き』という気持ちと違うものだと思う。
 でもなんだか、安心できる。
 それは、相手が俺よりオトナだからだろうか。

 一度足を踏み出してしまえば、次からのハードルは低くなった。

 何となく、人恋しくなれば、オトコの家に向かって、そこで過ごした。
 夜、オトコの家に向かって、泊まって、朝、自宅に帰って仕事に打ち込んで。
 
 泊まれば、たまにはやはりカラダを重ねる。

「んん……あぁ……は……イイ……」
 器用に俺のカラダの快感を煽っていく指がたまらなくって。
 男のペニスに穿たれるまま揺さぶられて、追い詰められて、射精して。
「イイ……イく……!」

 快感の余韻に浸って、ベッドで横になっていると、男が、水の入った、グラスを持ってやってきた。
「飲む?」
「ん……。」
 受け取って、氷が入ってよく冷えた水を口に含む。
「ん? これって、普通の水?」
「ミネラルウォーターにレモンを数滴垂らしたの。さっぱりしてるでしょ?」
「うん。」
 喉が潤わされ、スッキリする。

 このオトコの家によく通うようになって、煙草の本数も、アルコールの量も減った。
 このオトコの家は禁煙だったから、仕事中に自宅で、吸うくらいだったし、店に行く回数も少なくなれば自然とお酒も飲まなくなっていた。
 このオトコの家にはアルコールがないし。

「直哉くんってさ、ネコしかしないの?」
「え?」
「セックス。」
「あんまり考えた事なかった。」
「抱きたい、とか思わない? それとも、僕じゃあ、そんな気にならない?」
「えっと……その……。」
「試してみる?」
 確かに、そのオトコは綺麗でカッコよくて、艶っぽくて。
 指で顎を捕らえられ、唇を重ねられる。
 確かにその行為には欲情をそそられるけれども。

「直哉くん、来て……。」
 誘われて。
「あの、俺、オトコ抱いた事ないんだけど。」
「でもわかるでしょ? どうしたらいいか。」
 俺が今まで抱かれてきたように、このオトコを抱く。
 それは、どんな感じがするのだろうか。

 再び重ねられてきた唇を貪った。
 そうして、オトコがしてくれたように、俺はそのカラダに触れていく。
「ん……」
 たまに漏れる声がたまらなくって。
 俺の手で、感じてくれている、このオトコが。

 ローションを手に取り、オトコのアナルに指を挿入する。
 一瞬、眉をひそめたように見えたけど、男は、俺の指を受け入れてくれて。
 きゅっと窄まるその感覚が俺の欲情をそそるのだろうか。
「ゴム、その引き出しに入っているから。」
 ベッドの横にある引き出しから、俺はゴムを取り出し、自分のペニスに被せた。
「いいの? イれて……」
「んん。イイよ……。でもゴメン、ネコするの久し振りだから、ちょっとキツいかも。」
 挿入して、締め付けられる感覚は初めて味わうものだった。
 オンナを抱いた事はあるけど、女性のソコとは違う器官。

 オトコに促されるように抽挿して、どれくらいが基準なのかはわからないけど、オトコが言った通り、アナルはキツかったけど、気持ち良かった。

「あ……はぁ……ん…ソコ…。」

 言われるまま突き上げて、イってしまいそうなのを我慢して、俺を抱いている時とはまた違ったそのオトコの顔がまたヨくって。
「ゴメ……雫さん……もう、イ…く…。」

 俺はオトコの中で射精していた。
 まだ男のペニスは昂ぶったままで。
「直哉くん、手でシてくれる……?」
「うん……。」

 勃起した男のペニスに指を絡め、扱きあげていく。
「ああ……。イイよ……直哉くん……」
 次第に手の動きを早くし、男の解放を促す。
「……んん……くぅ…!」
 やがて、オトコが、射精する。

 ベッドサイドで、カランと先ほどの氷が音を立てた。
 男は、そのグラスを手に取り、水を嚥下する。

 じっとりと汗ばんだカラダが、触れ合う。
 その感触が嫌じゃない。

「雫さんてさ……。」
「ん?」
「抱かれるの好きなの?」
「んー。基本、タチだけど、両方とも好き。」
「はぁ。」
「直哉くんは? どうだった?」
「え? 俺は……わからない。」
「ヨくなかった?」
「いや、ヨかったけど。」
「じゃあ、良いじゃん。」
「はぁ。」
 そういうもんなんですか。
 やっぱり不思議な人だと思う。

 先輩や他のオトコの時は抱かれるばっかりだったからなぁ。

「オトコのカラダ見て欲情するかしないかは別としてさ、直哉くんはネコしてて感じられてるからわかると思うんだけど、イれられて感じられる場所がある訳よ。まあ、個人差があるから、全員がイイ訳じゃないんだけどさ。気持ちじゃなくて、カラダの構造的な問題でね。まあ、ペニスに対する刺激、っていうのは大体皆感じるんだけど。直哉くんは女性とシた事あるでしょ? イれる方としてはさ、確かにアナルのほうが締まるんだけどさ、女性相手でも、アナルセックスが出来ないわけじゃないけど、女性の場合、前立腺がないから、構造的には感じない訳。感じてるとしたら、気持ちの面でかな?」

「雫さんは、女の人駄目なの?」
「んー。嫌いな訳じゃないよ? 友達もいるしさ。でも、セックスは経験がない訳じゃないけど、そういう対象にならない。」

「雫さんは、俺がゲイじゃないって言いましたよね。」
「うん。」
「でも、実際好きになったのはオトコの先輩で、本当に好きになったのはそれが初めてなんです。多分、オンナが好きな訳でも嫌いな訳でもないし、オトコが好きな訳でも嫌いな訳でもないと思う。」
「微妙だねぇ。まあ、でも、曖昧でもいいんじゃない? 先輩って言うのは直哉くんにとって特別なんでしょ、きっと。」
「雫さんはいいんですか? 俺が、先輩の事好きでいても。」
「うーん。僕はね、ゲイだけど、まあ、ちょっと『恋愛感情』とはずれてるのよ。でも、直哉くんの事は気に入ってるし、直哉くんが、僕の感覚についていけなくなって、別れたい、って思わない限り、付き合いたいんだよね。」
「はぁ……。」

 今はまだ、このオトコの事が見えなくって、この先どうなるかなんてわからないけど、取り敢えず、この関係を続けてもいいかな、と思っている。
 俺が、このオトコに対して持っているのは『恋愛感情』じゃないと思う。
 その名前をなんと呼ぶのかは知らない。
 そんな関係があってもいいのではないかと思う。


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