暴走書家

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『幹分かつ枝-5-』

 ココロの中の整理とは、中々上手くいかないものだ。
 いい加減、政司への恋愛対象としての想いを断ち切らなければいけない。
 今付き合っている、直哉の事は好きだ。
 直哉は、俺が、叶わぬ想いを抱えて、それでも、現実問題として、それをずっと引きずっている訳にもいかず、直哉と俺の出来る範囲で、ちゃんと向き合っていきたいと思っている俺を、受け入れて、付き合ってくれている。

 直哉の優しさに包まれて、直哉が特にそれを咎める事はないから、それに甘えている訳にもいかない事にも、気付き始めてきていた。
 それでも、政司が、オトコを性欲の対象として見ることの出来る人間だ、という事が、俺のココロを少し揺るがせていた。

 今までは、俺のココロの中に、政司の存在があったから、その事に感づかれて、相手の方から、別れを切り出されてきた。
 けれども、直哉は俺が、他のオトコに想いを抱いているのを承知で、俺が、俺なりに直哉の事を好きだから、そして、俺も、直哉と真面目に付き合っていたいから、関係を続けている。
 政司への想いを、今のところどうする事も出来なくて、そんな俺自身が不甲斐なくて、直哉に対して、多少、申し訳ない気持ちもある。

 もし、俺の片想いの相手が、双子の弟である政司でなかったら、何らかの方法で、断ち切る事が出来たのかもしれない。
 世の中には、仲の良くない、若しくは、縁の薄い兄弟はいるだろうが、兄弟としては、かなりの程度まで気の許せる相手だからこそ、想いを吹っ切る事が出来ない。
 俺が、政司をただの仲の良い、双子の兄弟だ、それだけの目で見ることが出来たらそれにこした事はないのに。

 もう何年、この想いを秘めてきたのだろう。
 誰にも打ち明ける事のできない苦しさ。
 それが、やはり、この想いを俺の中で、より強固にしていったのだろう。
 冗談交じりでも、誰かに打ち明ける事が出来たなら、少しは楽になれただろうか。
 だがそれは、俺の性格上、出来る事ではなかった。

 直哉は企業勤めとかではないから、所謂、日祝祭日などというものは関係なく、仕事をしている。
 俺が、翌日休みで、泊まりに行った時でも、仕事が空けられない時は、夜は一緒に過ごすけれど、その休日を直哉は仕事に当てている。
 仕事がない時は、ごくたまに、一緒に出かけたりもするが、基本的にインドア派な俺と直哉は、それよりも、家の中で、ゴロゴロする事が多い。

 風景画や植物をモチーフにしたものが殆どなのだが、出掛ける事は、滅多になく、資料らしき写真集が何冊も置いてある。
 連休を目の前にしていたが、自分達には、あまり関係がない、そう思っていたところ、思いもかけず、直哉から「今度の連休、もし良かったら、一緒に、温泉に行かないか? 知り合いから、温泉旅館の宿泊券を貰ったんだけど」とお誘いの連絡が来た。

 誘って来たからには、直哉は仕事は大丈夫なのだろう。
 宿の名前を聞いて、調べてみたけれど、都会から離れた、自然の中にある場所だった。
 俺の方の都合は、問題なかったので、OKの返事をして、当日の予定など、約束をした。
 しかし、この連休に、これだけの値段の宿泊券をくれる相手って……不思議だ。
 露天風呂を始めとして、5種類の大浴場と、貸切の露天風呂が3つ。
 いずれも、自然を臨む事が出来るか、自然素材を使ったものだった。


 で、当日、電車で揺られる事数時間、そして、送迎バスに乗って、旅館に着いた。
 本当に、自然に囲まれたところだった。
 しかし、大の大人のオトコが二人きりで、泊まるのは、少々不自然なのではないのだろうか?
 旅館の従業員は、客の事情など聞いてくることはないだろうが。
 直哉は直哉で、「たまには、実際に、こうして、自然に囲まれて見るのもいいね。明日、ちょっと、散歩してみようか。」とその風景を気に入っているようだった。

 因みに、直哉はスケッチブック持参。
 折角、来れたんだから、存分に楽しまなければ、と旅館について、取り敢えず、幾つかの風呂に入った。
 出て来た夕食も、流石に値の張った温泉旅館だけの事はある、地元で採れた、厳選された旬の食材が用いられていた。
 量は決して多くはないのだけれど、不満足にさせない。
 逆に、全て、食べきる事が出来て、嬉しいくらいだ。

 部屋から、外を眺めて暗闇の中の、自然を楽しむ。
 胃袋が、夕食を消化できた頃に、再び、先程入らなかった、風呂に浸かった。
 露天風呂から見える夜空も綺麗だ。
 恋人とこういうところに来られるっていいよなぁ。
 直哉も終始ご機嫌な様子。

 部屋風呂で、再度カラダを綺麗に洗って、畳の上に敷かれた布団の上で抱き合った。
 唇を重ねて、舌を絡ませ合い、吸い上げる。

「…ん……」

 深く口付け合って、一旦、唇を離し、再度、口付けを求める。
 そのまま、直哉の肌に指を這わせて、宿の浴衣を脱がせていく。
 露になった肌に唇を落とし、肌を強く吸い上げる。
 首筋に、胸元に、そして、乳首を摘み上げて、刺激していく。

「…ぁ……法規……」

 刺激され、尖った乳首を更に弄って、快感を高めていく。
 敏感になった、乳首に軽く歯を立てるとより一層、感じているみたいで。

「…ふ……ぁ…ん……」

 まだ、直にペニスに触れず、内股に舌を這わせて、そこを吸い上げる。
 それを徐々に上に移動していって、勃起した直哉のペニスを口に含んだ。
 舌と唇で扱きながら、奥まで飲み込んだり、吸い上げたり。
 その刺激に硬く張り詰める直哉のペニス。

 用意しておいた、ローションを手にとって、指をアナルに挿入していく。
 丹念に解して、受け入れられやすいよう施す。

「…法規……も……いいから……」

 指を抜いて、ペニスをあてがい、挿入していく。
 締め付けのキツさを味わいながら、奥まで埋め込んで、一旦、動きを止める。

 そうして、求められてきた唇を、軽く重ね合って、離した。
 幾分慣れたアナルに抽挿を開始する。
 突き上げて、直哉が感じる部分を擦り上げる度に、直哉の口から声が漏れる。

「あ……あぁ……ん…ぁ……っ…」

 快感を得て、締め付けてくる直哉のアナルの感覚に煽られて、俺は、律動を速めていく。

「ん……法規……イイよ……ぁ…っ…も……イきそう……」

「直哉さん……俺も……もう……」

 直哉の射精を促すようにペニスに触れて、扱いていき、達したその裡で直哉のアナルに締め付けられて、俺もまた、射精していた。
 暫らく、布団の上で休んで、再度、口付けを求めてきた、直哉に応じる。
 そして、そのまま、直哉の愛撫に身を任せていった。

 俺の感じる場所を刺激されて、欲望が再び高まってくる。

「…ぁ…ん……直哉さん……」

 いつもとは、違った場所で求め合っている所為か、時間も、緩やかに流れていくようで、その感覚を長く受け止めている。

 直哉のペニスをアナルに受け入れて、直哉が求めてくる熱を感じる。

「あ……はぁ……っ……あ……んん…」

 突き上げられて、快感が漏れ出るような感覚がたまらなくいい。

「っ…!……あぁ……も……イ…く…っ…!」

「ん……く…っ……ん」

 再び訪れた絶頂の余韻に浸り、布団の上に転がって、軽く唇を重ねた。
 そして、お互い、満足気に微笑んだ。

「法規、少しは元気でた?」
「え?」
「んー、だってさ、法規、1人で色々考えちゃうだろ? 勿論、自分の頭で考える事も大切だけど、俺は、大して何もしてやれないと思うけど、話を聴くだけなら出来るよ?」
「うん。ありがとう……あ、でもその前に、聞きたい事があったんだけど。」

「何?」
「直哉さんのイラストのカレンダーってあるの?」
「え? あ、うん。去年、話があって、出したんだけど、来年の分も、また出すと思う。イラストの方は、仕上がってるし。」
「あ、そうなんだ。いつ頃出そうかわかる?」
「問い合わせてみれば、多分。なんで?」
「実は……千香が…家の妹が、直哉さんの絵、好きみたいで、誕生日プレゼントに頼まれちゃって。」
「へぇ。そうなんだ。何か、嬉しいな。身近にそういう話聞くと。妹さんと仲良いんだね。俺、兄弟いないからわからないや。」
「まあ、うん。仲、良いかな。あ、でも、俺も直哉さんの絵好きだよ。」

「うんうん。わかってる。ありがとう。でも、その妹さんが、法規が俺のオリジナル一点物を持ってるって知ったら、羨ましがるだろうね。」
「あれは……俺の、大切なものだから、大事に仕舞ってとってあるけど。直哉さんの、オリジナル一点物って、他にもあったりするの?」
「一応。1つは、まあ、法規が持ってる『ほうき星』、でもう1つは、法規も観た事があるかもしれないけど、バーに飾ってある『迷宮』。本当は、もう1つ『月の涙』って言うのがあったんだけど、それは、もう、公にしようと思って。」
「へえ、そうなんだ。『迷宮』って、あの『Labyrinth』の?」
「そうそう。そのまんま、名前を日本語にして描いただけの。」
「ちゃんと見たことないや。今度、観てみる。」

「で、法規が、悩んでる事って、何? 片想いのオトコの事とか?」
「えっと、でも、やっぱり、そういう話って、嫌じゃない?」
「別に。どんな相手で、どんな事情があるのか知らないけど。」
「俺の問題だし……、そこまで、直哉さんに甘える訳には……」
「無理に話せとは言わないけどさ、甘えるんじゃなくって、恋人なら、知っておいてあげたい、っていうのもあるんだけど。」

 俺は、直哉に打ち明けてもいいのだろうか?
 恋人の事を知りたい、それはわかる。
 俺も、直哉の事を知りたいし。
 誰かに話したい、それを、直哉に?
 直哉は無理強いはしないと言ったけれど、打ち明ける事は、かなり自分勝手な事になるんじゃないだろうか。
 直哉がどう受け止めるかはわからない。
 それでも、何かの契機(きっかけ)になれば。

「取り敢えず、寝ようか。まだ明日があるんだし。」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ。」

 意識が、闇の中に落ちていく。
 まだ明日がある。
 急ぐ必要はない。
 それでも、いつまでも引き伸ばす訳にもいかない。


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