暴走書家

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『幹分かつ枝-4-』

 俺にとって、家族として、法規が千香が大切なのは変わりない。
 そして、それでも、それ以上に、法規の存在を意識してしまう。
 無理矢理にでも法規のカラダを求めたなら、変わる事が出来るだろうか?
 でも、そうしてしまったら、家族である事、兄弟である事、その関係も終わってしまうのだろうか。
 名前としては変わらない。
 双子の兄弟である事、家族である事。

 想いの対象として、性欲の対象として、その面で話す事ができなくても、単なる兄弟としての普通の会話も、嫌ではない。
 結構、あけすけで話す千香がいるからか、いや、それでなくとも、それなりにお互いの存在を認め、会話を交わす事は出来る。

 法規に恋人がいるらしい事に気がついていても、その話に触れる事は、怖くて出来ない。
 恋人がいても、家族として、双子の兄弟として、法規にとって、俺はそれ以上の存在になれないかもしれないけれど、大切な存在だと言う事はわかる。
 ある程度の次元までは、分かり合っている、そう思う。

 その次元を超えて、わかり合う事は出来るのだろうか?
 もし、仮に、わかり合おうと努力した時、俺の、法規に対する想いを打ち明ける事になるのだろう。
 俺に、その勇気があるのだろうか?
 もうずっと、そうして来なかったのに。

 兄弟以上の特別な想いを隠して接してきた。
 ゲイである事も同じ。

 千香は、俺と法規が、対等に自分の事を見てくると、そう言った。
 そして、実の父親を殆ど覚えていないだろう千香は、俺達の父や俺達に対して、ある種の思慕の念を持っている。
 多少強気でねだってみても、それが、甘えになる事はない。
 そして、千香も甘やかされる事を望んではいない。
 千香が遠慮をせずに、はっきりと口に出すから、こっちも、それに対して、遠慮する事はない。

 それは、兄弟として、会話をする時の、法規に対しても同じ事だし、父に対しても、母に対してもそうだ。
 父は母の仕事に対する姿勢や、強さに惹かれたのだろうし、母も、父となら、もう一度、共に人生を歩んでいけると、そう感じたのだろう。
 外に出て、仕事は仕事で、熱心に取り組んで、そして、家に帰ってきたら、背中を預けあって、生きていけるから。

 禁断の愛、ある種、甘美的に使われるその言葉。
 古く言えば、身分違いの恋、それから、同性愛、近親相姦、不倫。
 禁じられるからこそ、熱く燃え上がるその想い。
 それをテーマにした作品も数多く見受けられ、人気がある事も確かだ。
 禁忌が薄らいでいく中で、より強い禁忌に憧れを馳せる人間。

 しかし、実際にその中に身を置いてしまえばどうだ?
 全く甘美なものなど実感しない。
 叶う事のない、甘美な幻想に少しでも浸れれば、どんなに良かったか。
 想像の中で、法規とのセックスを夢見ても、やり場のない現実感だけが残る。
 秘めた想い、なんて、現実には、かっこよくも何ともない。

 俺は、誰かとセックスする中で、法規への想いを忘れさせてくれるオトコを待っているのだろうか?
 そんな、一方的な、都合のいい夢を見られるはずもない。
 遊び心でしかないセックスは、それ以上の意味を持つことなどない。
 そこに、快楽があるから、ただ、それだけ。
 別に快楽に流されている訳でもない。

 セックスの一時に、溺れるようにその快楽に相手に、身を任せても、逆に、相手のカラダを貪って快楽を得ても、それは、それ以上でも、それ以下でもない。
 誰かを、愛する事は重要かもしれない。
 でも、千香も言っていたけれど、愛だけで生きていける訳でもない。
 恋愛としてではなく、広義の意味で、俺は、家族の事を愛してる。
 千香の事も、父の事も、母の事も、勿論、法規の事も。
 法規に対しては、恋愛感情がプラスされてはいるが。

 終末、仕事を終えて、やはり、ゲイバーに来ている。
 遊ぶのは、遊ぶのでそれなりに楽しい。
 けれど、いつまで俺は、遊び人をやっているんだろうかとも思う。
 法規への想いが叶わないから、と言って、自棄な訳じゃない。
 自棄になったら、楽しむ物も楽しめなくなってしまう。

 だから、楽しめそうな相手、結局はそうなってしまう。
 何となく、見た目が好みで、よさそうな相手を、物色している。
 そして、目ぼしいオトコが一人でいるところに声を掛けに行く。

「ねえ、1人? 良かったら、俺と遊ばない?」
「遊び?」
「そう。遊びでセックスする気にはなれない?」
「……別に、そうでもないが。」
「それとも、俺、あんまり、好みのタイプじゃない?」
「いーや。いいよ、俺も、それで。」

「じゃあ、決まりね。で、タチ・ネコどっち? どっちもいけそうな感じがするけど。」
「まあ、そうだな。そっちが、誘ってきたんだろ? どっちが、望みな訳?」
「んー、そうだな。俺も、どっちもいけるけど、今日は、抱いて欲しい気分かな。」
「わかった。」

 そのまま、連れ立って、ホテルに入った。
 お互いシャワーを浴び終えて、ベッドの上で縺れ合う。
 そのオトコが覆いかぶさってきて、重ねて来る唇に俺の唇を重ね合わせる。
 唇の隙間を割って入ってきた舌に舌を絡ませて、その舌を吸い上げられて、軽く喉が鳴る。

「ん……ふ……」

 耳朶を甘噛みされて、首筋を舌が這ってくる。
 鎖骨に辿り着いた、唇が、そこに歯を立てられる。
 指で、乳首を弄られて、次第にジーンとした快感が湧き上がって来る。
 その感じている乳首を、摘み上げられて、カラダが敏感になってくる。

「…ん……ぁ……」

 快感を感じている時に、冷静に考える必要なんてない。
 ただ、今は、その感覚を受け止めていればいい。

 勃起しかけたペニスが、同じようにその兆しを見せている相手のペニスと擦れ合って、欲情しているのが、自分だけでない事がわかる。
 その相手のペニスを咥えて、唇を窄めて扱いていき、時に強く吸い上げる。
 硬度を増してくるペニスを、味わって、完全に勃起したところで唇をを離した。

「…ふ……イれて……」

 唾液で濡れて、勃ち上がっているペニス。
 唇を離した時に、飲み込めなかった自分の唾液を、腕で拭い去った。
 そして、相手が、俺のアナルに指を挿入してきて、そのペニスを受け入れられるように慣らしてくる。
 ローションの滑りを借りたその指が、アナルの入り口を解していく。

 それから、指が抜かれて、ゴムを被せ、ローションを垂らしたペニスを挿入してくる。

「ん……ん……ぁ……は……」

 そのペニスの質量を受け入れて、カラダが馴染むように、息を吐く。
 そうすると、ズルリと奥までペニスが入ってきた。

 ペニスを抽挿され、内壁を擦られて、突き上げられる快感に飲み込まれていく。

「……あぁ……っ!……んん……イイ……は……ん…!」

 相手は、俺が感じている場所を確実に捉えて突き上げてくる。
 その逞しいペニスの感覚はたまらない。
 そして、俺も、相手が、感じられるように、アナルを締め付ける。

「んん……ふ……ぁ…っ…! ……も……イきそ……っ…」

 射精感が高まってきて、限界が近づいている事を伝える。
 そのペニスが相手の手に触れられ、扱かれて、射精を促されたら、もう一刻の猶予もなくって、アナルを締め付けながら達していた。
 その締め付けの中で、相手も射精したようだった。

 先にシャワーを浴び終えて、普段は口にする事はないけれど、ベッドの横のソファで煙草を吸っていた。
 後から出てきた相手が、それを見て、少し眉を顰めた。

「煙草、吸うんだ。そういう匂い、しなかったのに。」
「滅多に吸わないよ。ただ、セックスした後は何となくね。」

 普段から吸っている人間は、カラダにもその匂いが染み付いて離れていかない。

「悪いけど、俺、煙草の匂い駄目だから、止めてくれない?」
「んー、ああ、悪かったよ。何も尋ねずに吸って。今時は、知らない相手には、断ってから吸うべきだったな。」

 咥えていたタバコを灰皿で揉み消した。

「……よく来てるよね、あのバーに。何度か見かけた事がある。」
「まあ、そうだね。時間があって、気が向いた時はね。」
「それで、いつも、ああやって、遊び相手探してるんだ。」
「否定する気はないよ。」

「で、一度寝た相手とは、もう寝なかったりするんだ?」
「そうでもないよ。まあ、でも、何度寝たって、遊びは遊びで変わらないし、情が移る訳でもない。」
「あっそ。取り敢えず、相手には不自由しないって、事か。」
「そ。今のところ、取り敢えず、はね。」

 そう、取り敢えず、はだ。
 不自由していないか、その投げ掛けには多少、疑問が残るが。
 このまま過ごすか、それとも、関係を崩す事になっても、思い切って打ち明けるべきか。

 ノンケのオトコなら、ゲイでしかも、自分がその性的対象として診られていると知ったら、気持ち悪がるだろうな。

 打ち明ければ、玉砕しても、俺は、少し楽にはなれる。
 が、法規の気分を害する事になる。

 このまま過ごせば、ただ、俺が、1人で、想い悩んでいればいいだけ。
 その自虐性に酔う事も出来ない。

 打ち明けて、拒絶された時、兄弟としての絆も、やはり変わってしまうのだろうか。
 どういう方向に?
 それでも、変わったとしても、絶縁する程、弱い絆ではないと思っている俺は、認識が甘いのだろうか。


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