暴走書家

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『幹分かつ枝-2-』

 俺自身がゲイだって事、その事で特に悩んだ事はなく、まあ、普通に俺は、自分のそういった性癖を受け入れてた。
 しかし、周りの人間は、それをどう受け取るかはわからなかったから、打ち明けた事はなかったし、少し距離を置く事が多かった。
 そして、ゲイであって、オトコが好きで、その上、最初にその感情を抱いた相手は、俺の双子の弟である、(くぬぎ)政司(まさし)だった。

 生まれた時から、同じ家に住んでいて、小学校を卒業するまでは、親の一戸建ての持ち家ではなく、父親の転勤先の社宅だったから、そんなに広いわけでもなく、部屋数も少なくて、カラダもまだそれ程大きくなかったので、同じ部屋に勉強机があり、同じ部屋で眠っていた。
 まあ、流石に高学年になってくると、カラダも成長して大きくなり、多少、狭さを感じなくもなかったが。

 中学に上がるのと同時に、持ち家に引っ越して、別々の部屋が与えられた。
 今まで、一緒に空間を共有していたから、少し寂しくはあったが、性欲の対象であった、政司と部屋がわかれて、安堵する部分もあった。
 自慰とともにセックスにも、興味が出てきて、実際にしたい相手が傍にいるのに、出来ないのは辛い。

 双子であっても、完全に理解出来る訳ではないが、性格が異なっても、基本的に気が合うので、色んな話をしているが、性的な面に関しては、俺は、一切触れなかったし、政司も、全く触れて来なかった。

 俺と政司では、学校のクラスも異なるので、友人の範囲も異なってくる。
 俺よりも、友人づきあいが大きい政司の友人が、家に押しかけてきて、そこに居合わせた俺も巻き込まれて、「これ、無修正モノなんだぜ」と男女のアダルト・ビデオの放映会が開かれたが、ゲイの俺に、女性のそういう部分は興味がなかったし、どちらかというと、男優の方に眼が行ってしまう。
 そして、それを見て、性的に興奮している政司が、一番の興味の対象だった。

 いつだっただろうか、政司が自分の部屋に誰かを連れ込んでセックスをしているのに、遭遇したのは。
 と言っても、目にした訳ではないが、相手はオトコだった。
 政司がゲイなのか、バイなのかわからないが、政司はオトコ相手にセックスが出来るのか、俺は、それを知ったけれど、それでも、自分がゲイである事も、政司が好きな事も、話す事はなかった。

 政司は、俺が、政司がオトコ相手にセックスをしているのに気付いている事を知らないし、俺がゲイだという事も知らない。
 政司への想いを引きずりながらも、このままではいられない、と、何人かのオトコと付き合った。
 それでも、俺のココロの中に、政司の存在が深く根付いている事に気付いたのか、俺としては、その時の相手と、真面目に向き合おうとしていたのだが、あまり、長続きをする事はなかった。

 俺が付き合った内の一人のオトコに、「俺はあんまり行かないんだけどね」と、あるゲイバーを紹介された。
 高質にあつらえてある、ある種、亜空間のようなそのバーはそれでいて、気どっているわけでなく、客の服装も、ラフな格好から、カジュアルなもの、そして、シックなものと様々だった。
 独特な雰囲気がとても穏やかで、落ち着いていた。
 そのオトコとは一度しか行かなくて、その時はその時で、関係が上手くいっている時だったから、ゆっくり話せたのを覚えている。

 そして、独り客も多く、俺は、たまに独りでそこに飲みに行くようになった。
 基本的に静かなのだが、たまに高めのテンションの客もいないでもない。
 それなのに、バーのその場の雰囲気を壊す訳ではないが少し不思議だ。

 常連客なのだろう、そういう意味で誘われたわけではないが、蛍と名乗る、オトコに声を掛けられて、割と親しい、友人になった。

 それから、喜多嶋直哉というオトコ。
 俺よりも3、4歳上、と言った感じだろうか。
 始めは、割と気さくな感じで声を掛けられた。
 それでも、その時、即ホテルに、というのではなく、その後、何度か、一緒に食事に行ったり、同じバーで会って話をしたりして、やがて、カラダを重ねるようになった。

 そうやって、付き合い始めて、気付いたら、今までの誰よりも長く、付き合っている。
 1年が過ぎ、2年目を迎えようとしていた。
 詳細を話した事はないが、直哉は、俺のココロの中に、他に好きな相手がいる事を知っている。
 そして、それを、「でも、法規は、俺とちゃんと付き合おう、って思ってるんだから、別に問題ないでしょ」と言っていた。

 政司への想いはやはり特別だけれども、直哉の事は、直哉の事でちゃんと好きだと思っている。
 そうでなければ、これだけ付き合ったりはしていない。

 直哉は、イラストレーターで、独り暮らしの自宅で仕事をしている。
 イラストの手法について、詳しくは知らないが、直哉は水彩色鉛筆を愛用している。
 そこそこは売れているらしく、単行本や文庫のイラストも手がけていて、数人の小説家とも繋がりがあるらしい。
 俺は、昔は、小説を読んでいたが、今は、殆どが、仕事の実用書になってしまっていて、小説からは大分、遠ざかっていた。

 何冊か見せてもらって、それぞれ印象に残っているが、その中でも、一番気に入っているのは、立川怜という作家の『海の底の底』だ。
 深海を表す深い青に所々、紫や緑がかっている。
 その中に、数箇所、小さくぼやけたような光が輝いている。

 俺が、そのイラストを好きだと言ったら、直哉に「俺は、その小説の方も好きだよ。短いから、読んでても疲れないし、良かったらあげるよ」と言われたので、ありがたく頂戴した。
 そして、その後、同じような深い青を使った物で、俺の名前からイメージして、と夜空に尾を引くように光っている『ほうき星』、正式名称は『彗星』のイラストを描いてくれた。
 ちなみに、『ほうき星』と『流れ星』は勘違いしている人が多いらしいが、違う物だという事を、俺も始めて知った。

 まあ、俺の『ほうき』は『法規』で全く違うのだが、確かに、子供の頃は、名前で掃除の時にからかわれた記憶もある。
 名前でいうと、弟の政司は『政治を司る』と書く。
 法律、政治、経済、それに関わる人間のコラムを書く父親ならではの命名だろう。
 もし、三つ子だったなら、どんな名前だったかはわからないが、『経済』にちなんでいたのではないだろうか。

 俺は、明日、仕事が休みなので、直哉の家に泊まりに来ている。
 直哉は、決まった休みはないが、マイペースに仕事をしている、というので、会ったりするペースを、俺に合わせてくれている。

 で、直哉の家で食事をするのだが、直哉は基本的にコンビニや出来合いの物を買って食べるので、1人で自炊はしない。
 そして、俺は、親元で、母親が作ってくれるから、料理などした事はなかった。
 外食ばかりしている訳にもいかず、2人の時は、慣れないながらも、レシピを見ながら、一緒に料理を作る。

 見栄えは多少我慢して、レシピ通りに作れば、味はそんなに変な物は出来上がらない。
 まあ、始めの内は、本当は、味も何となくイマイチだったが、今は割りと上達したのではないかと思う。
 それでも、まだ直哉が少し不満気なのは、直哉の、前の彼氏がかなり料理が上手だったからみたいだ。

 食事をして、一休憩して、シャワーを浴びて、ベッドに行く。
 そして、そこで、抱き合った。

 重ねられてくる直哉の唇に、自分から口付けていく。
 薄く開いた唇から舌を進入させて、お互いの舌を絡めとる。

「…ぅ……ふ……」

 長い口付けを堪能した後、直哉の指と舌が、俺の肌をなぞっていく。
 首筋を撫でられ、感じたそこを吸い上げられた。

「…ぁ……は……」

 そこから、徐々に下に降りて来て、乳首を摘まれた。
 摘み上げられて、弄られて、勃ち上がってくる小さな突起を更に、弄られて、そこにある神経が、快感を感じ取っていく。
 両方の乳首を弄られるとたまらなく感じている。

「んん……ぁ……直哉…さ……ん」

 更に、下に伸ばされた手が、勃起したペニスに触れられる。
 直哉のペニスに手を伸ばすと、やはり同じように勃起していて、それを、重ね合わせるようにして、お 互いのペニスを一緒に扱いていく。
 そうすると、硬度が増していくのがわかる。

「法規、イれるよ。」

「ん……」

 アナルにローションの滑りを借りて、指が挿入されてくる。
 入り口を解すように指で慣らされて、その間、ペニスは直哉に咥えられて、その口淫を受けている。

「直哉さん、……も……」

 口が離され、指が抜かれて、代わりにアナルに直哉のペニスが当てられて、ゆっくりと挿入されてくる。
 それを奥まで受け入れて、やがて抽挿が開始される。

「ぁ……はぁ……んん……あ…んん……」

 ペニスが前立腺を擦るように突き上げられて、快感が煽れられ、ソコを更に攻め立てられる。

「…は……ぁ……ん……直哉さん……ソコ……イイ……!」

 言葉で伝えなくても、感じていることは、カラダの反応を見れば、確かなんだろうけど、それでも、伝えたくて。
 激しく突き上げられて、感じて、俺のペニスの先端からは、先走りが溢れている。
 射精感が、もうそこまで込上げて来ていた。

「直哉さん……も……イ…きそ……」

「俺も……もう……法規……」

 直哉の手がペニスに添えられて、射精を促すように扱かれて、俺も快感に酔いながら、アナルを締め付けて、お互い、達していた。

「…っっっ!」

「…ん……く…っ…!」

 達した後、暫らく、裸のまま抱き合っていて、それでも、いつまでもそうしているわけにいかなくて、溜めていた湯船に浸かった。
 本来、直哉が一人で寝るためのシングルサイズのベッドは二人だと狭いのだが、別々に離れて寝るのは何となく寂しい。

 それでも、政司への想いをまだ断つ事の出来ない俺。
 いつか、ただの普通に仲の良い、双子の兄弟という感覚だけになれるのだろうか。
 もし、直哉に詳細を打ち明けた時、もしくは、政司に打ち明けた時、何か、変わるだろうか。

 そう言えば、4つ年下の妹の誕生日が近かったな、とふと思い出した。


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