暴走書家

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『幹分かつ枝-1-』

 遊んでいればそれなりに楽しい。
 ゲイの友達と会話をしたり、その時の快楽を求めてセックスをするのも。
 一度もセックスをした事はないが、政司が気に入っていた想一がまた顔を見せなくなってしまった。
 元々、忙しくてそんなに顔を出すほうじゃなかったし、相手がいる時は、絶対にこの店には顔を出さない。
 他の店に顔を出しているらしいが、その店を政司は知らないし、知ったからといって、追いかけていく程ではない。

 いくら『遊んで』とセックスを想一にねだったところで、そういう感じでセックスをする政司を想一は軽くあしらってきたし、政司にしても、もし、政司の言葉が叶って、カラダを重ねたとしても、それ以上にはならない事がわかっていた。

 本気になって、失恋するのが怖い、だから、遊び以上で特定の相手を作らない、そう言う訳ではない。
 どうしても、今のままだと、誰とも本気で向き合う事が出来ないから。
 政司のココロに住み着いているオトコがいるから。
 打ち明けた事はない。
 その想いを。
 とても近い距離にいるけれど、やっぱり、遠いところにいる。

 誰か別のオトコと寝たら、少しは変わるのではないかと思っていた事もある。
 そんな風にして、誰かとセックスをしてみても、その相手に対して、気持ちが移る事はなかった。
 手当たり次第、という程ではないが、それでも、何人ものオトコとセックスをした。
 そして、それが、いつしか遊び心へと変わっていった。

 とても身近過ぎるから、自分がゲイだという事も、好きだという事も、返って話す事は出来ない。
 性欲に目覚める前から一緒にいた相手。
 そして、目覚めてから、真っ先にその対象となった相手。
 それから、もう何年経つだろう。

 誰かを抱いた後、彼を抱きたくなった。
 誰かに抱かれた後、彼に抱かれたくなった。
 彼を忘れようとして、他のオトコとセックスをした後も、一時の快楽と遊びでセックスをした後も、やはり、彼の存在は大きかった。

 忘れたくても忘れられない。
 どうしても顔を合わせてしまうから。
 彼の存在を身近に感じて、そのカラダを想像して、自慰にふける。
 彼のカラダも、顔も、匂いも、服も、下着も、手の届くところにある。
 それなのに、やはり、想いは告げられない。

 純粋な遊び相手を、そして、セックスの相手を探す時に彼の面影を捜すことはしない。
 全く、別の存在だから。
 だから、誰かを彼の身代わりとしてセックスをする事はない。
 ただ、楽しめればいい、それだけ。
 それを、虚しいとは思わない。
 楽しみは、楽しみで取っておけばいいじゃないか。

 仕事は仕事、プライベートはプライベート、そう割り切るかのようにすればいい。
 笑顔は大事。
 そして相手の気分を害する事なく話をするのもどちらかというと得意。
 交渉とかは、それ程得意ではないけど、結構強気。
 仕事のに関する事は、それはそれで勉強している。
 一流企業、とまではいかなくても、そこそこのメーカーで営業マンとして、それなりの成績もおさめられている。

 そして、夜、時間が空いて、その気になれば、ゲイバーに出向いて、遊び相手を探している。
 見つからなくっても、そこの友達と、会話を交わす。
 そんでもって、相手が見つかればホテルへしけこむ。
 で、今日、そんな政司に、声を掛けてきた相手。
 本当に、軽いノリで。
 まあ、政司も他人の事は言えないのだが、いかにも遊び人だよな、と思う。
 そこら辺に関しては、深く考えないので、楽しめればそれでいいかと、そのオトコに付いて行く。

 特に、お互い名乗らずに、それでもセックスは出来る。
 仮に名乗っても、本当の名前を明かす必要もない。
 シャワーを浴びて、ベッドで重なり合って、そのオトコを組み敷く。

 口付けて、舌でオトコの口腔内を探って、舌を絡めとり、吸い上げる。

「…ん……」

 乳首を弄ると、その快感に喘いで、口を離し、声が漏れてくる。

「は……ぁ……ん…イイ……」

 オトコが感じるまま、そこを弄り続けて、もう片方の乳首に唇を寄せ、小さな突起を口に含んで吸い上げて、尖った乳首を甘噛みする。

「んん……ふ…ぅ……あ…あぁ……」

 下肢に手を伸ばし、ペニスに触れると、そこはほぼ勃起している。
 オトコも政司のペニスに触れて、そこを扱きながら、カラダを起こして、口に含んでくる。
 政司の硬く勃ち上がってくるペニスを味わうように、舌を這わせ、舐め上げては咥えて唇で扱く。
 十分な硬さをもったペニスから口を離すと政司にそれをねだってくる。

「イれて。」

 ローションを手に取り、アナルに指を差込み、解してから、ペニスにゴムを被せて、挿入していく。

「…は……ぁ……ん……あ……」

 オトコが苦痛を感じていないので、そのまま抽挿を開始する。
 オトコもその抽挿に合わせて、腰を揺すり、快感を得ようとしている。

「…ぁ……んん……ソコ…っ!……イイっ…!」

 感じると告げられたその箇所を狙って、ペニスで突き上げていく。
 それがたまらないのか、オトコは上がる声を押さえようとしない。

「はぁ…ん……イイよ……もっと……突いて……!」

 オトコが望むままにそれを与える。
 感じることを楽しむのなら、それを制御する必要なんてない。

「も……ぁ……イきそ……ん……っっっ!」

 そのまま、オトコは放っていた。
 そして、政司も、アナルの締め付けの中で達した。

 セックスを終えて、ホテルを出て、大した会話も交わさず、そのオトコと別れた。
 政司は、そのまま家路に着く。
 カラダの欲望は満たされたはずなのに、やはり、いつも通り、彼が欲しくなった。
 まあ、叶わないけど。

 家に帰れば、顔を合わす事になる。
 その彼と。
 政司の双子の兄、(くぬぎ)法規(ほうき)

 どんな相手なのかは知らないが、法規に恋人がいるらしい事は何となくわかる。
 いつ付き合い始めたか、いつ別れたか、厳密にはわからなくても、今は確かに相手がいるようだ。
 法規は法規で、夜遅くに帰って来る政司の事をどう思っているのだろう。
 政司にも、そういう相手がいると思っているのだろうか。

 生まれたときから、ずっと一緒の家に住んでいる。
 お互い、社会人となった今も、まだ両親の元にいる。
 幼稚園、小学校、中学校と同じ学校に通ってきた。
 高校は流石に離れてみようかと、別々のところに行った。
 それでも、何故か、大学は、目指す学部は違っても、同じ大学に通った。
 まあ、広い大学内だから、同じ大学といっても、大学内で顔を合わす事は殆どなかったが。

 特定の相手を作った事がない、と言ったが、実は、両親が共働きで家を留守にするのが多いのをいい事に、本当に一瞬だけ付き合った相手を、家に連れ込んだ事はある。
 2、3回位だっただろうか。
 まあ、お互い、半分遊びの延長みたいなものだったから、別れてしまったが。

 政司と違って、どちらかというと、法規はおとなしい性格をしている。
 仕事の種類も全然違う。
 医学の道に進んだ法規だが、実際の医療の現場に立つのではなく、翻訳会社に就職して、主に、医薬系の翻訳を担当しているはずだ。
 語学系の物は勿論、専門用語を扱うだけにその系統の日本の専門書も置いてある。

 一卵性双生児で、容姿はよく似ているが、性格までは似なかった。
 芸能人で、よく気の合う双子が出てくるが、政司と法規はそうではないようだ。
 双生児のDNA的理論は法規の方が詳しいのだろうけれど。

 いつか、法規は恋人を連れて、家にやって来たりするんだろうか。
 そうしたら、俺も吹っ切る事が出来るんだろうか。
 今はまだ、政司の中での法規の存在は、色々な意味で大きい。



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