暴走書家

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『幸せのカタチ-1-』

 『幸せ』か。
 ふと、雫は、昔の事を思い出していた。
 あれは、まだ、バーを開く前の事だ。
 一体、幾つまで若いのかと問われても、疑問に思うのだが、やはり、あの時は、少なくとも今よりは若かった。
 そう、全てにおいて。
 今は、もう何も残っていない。
 彼から、そう、橘幸生から送られてきた手紙も、燃やしてしまったから。

***************************


 俺が、彼に初めて会ったのは、仕事がほぼ順調に進んできた頃だった。
 主に、国内の有名ブランドのファッションモデルとして、コレクションのショーやファッション雑誌に身を飾っていた。
 彼を見たとき、彼自身も、モデルなのだろうと思ったのだが、実際は違っていた。
 俺が所属していたモデル事務所の社長と知り合いなのだと言う。

 俺自身が、そういった業界に身を置いているから、外見として、それぞれ個性はあるものの、整っている人間には慣れていた。
 それでも、彼に惹かれた理由、それは、彼が、ゲイである事を、オープンにしていたからだろう。
 俺自身が、ゲイである事、それは、暗黙裡にあったが、彼程ではない。

 当時、というか、それまでに於いて、ほぼ特定の相手と付き合う事はなかった。
 恋人が欲しくない訳じゃない。
 寧ろ、逆だった。
 本当は欲しかった。
 ただでさえ、業界に身を置くと、その恋愛は、マスコミの格好の題材となる。
 しかも、ゲイである事は、それ以上に興味本位の対象にしかならないだろう。
 しかし、それでも、『恋人がいる』と言う、『幸せのカタチ』が欲しかった。

 調度、事務所に用事があった時に彼がいて、社長に紹介された。

「こんにちは。始めまして。私、宮下雫と言います。橘幸生さん、ですよね。お会い出来て光栄です。」
「こちらこそ、はじめまして。」

 社長は、ゲイである事をオープンにしている、雫の事も知っていたし、暗黙裡にだが、俺がゲイである事を知っていた。
 お互いが、ゲイである事を知った後、積極的だったのは、雫の方だった。

「お付き合いしてる人とかいるんですか?」
「いえ。残念ながら。」
「もし、良かったら、付き合ってもらえませんか?」

 俺に、断る理由もなかったし、実際、雫に惹かれていたのでその場で、OKした。

「宮下さんは……」
「雫、で構わないです。私も、幸生って呼んでもいいですか?」
「あ、ええ。」

 どうしてそこまで、ゲイだっていう事をオープンに出来るのか、不思議だった。
 でも、雫は、自分がゲイである事を公言しているので、そうではない相手に対して、その関係が露見しないように、気を付けてくれていた。
 ゲイである事を気にせずに付き合ってくれる友人もいるけれど、そうでない人間もいる。
 その事をきちんとわかっている。
 いつからなのか、と尋ねてみたら、大学に入学した時から、と言っていた。

 俺と、出会い、付き合い始めた時、雫は、28歳だった。
 俺自身は、雫より2歳年上の30歳。

 雫は、色々な面で、付き合いが広いようだし、その年齢層も、幅広いから、知識や教養といったものは、かなり豊富だった。
 そして、その考え方も、かなり柔軟だった。
 雫の方が、2歳とはいえ年下なのだが、内面としては、上なのだと思う。
 何故そこまで、広い付き合いがあるのかというと、雫の以前から親しくしている知り合いが、かなり年上で、社会的地位が高いから、その知り合いのつてで、という事だった。

 俺のマンションも広いが、雫の住んでいるマンションも劣らぬくらい広かった。
 本業よりも、サイドビジネスからの収入が大きいという。
 1つ言えるのは、雫は必要以上のものを置かない、趣味は趣味で、それにかなり拘りがあるようだが、俺の部屋は、本当に必要最低限のものしかない。

 俺は、仕事上、食事にはかなり気を使っていた。
 雫は、そこのところもよくわかっていたようだ。
 その上で、雫は、俺と共に食事をする。
 雫の作る料理は、バランス面においても、味付けにおいても、文句の付けようがなかった。
 元々、色々工夫して、料理をするのが好きなのだという。

 雫と付き合うようになって、雫の家で過ごす事が多くなった。
 そして、カラダを重ねる機会も。

 ベッドの上で、触れ合っていた唇が、濃密に絡み合っていく。
 急いている訳ではなく、丁寧に深く口付けられる。

「…ふ……ん……」

 舌を吸い上げられて、思わず喉が鳴った。
 口腔内を堪能した後、それでも尚、名残惜しげに、離れていく唇が、指と共に肌に降りてくる。
 首筋をなぞり、指が、舌が、肌の熱を高めていく。
 乳首を摘み上げられて、その刺激に敏感に反応する。

「……ん……ぁ……」

 その快感の反応を引き出すように、更に触れてくる、唇と指。
 摘まれて、吸い上げられて、軽く歯を立てられて。

「は……んん……ぁ……ん……」

 下肢に伸びた手が俺のペニスに触れてくる。
 そこはもう、勃ち上がりかけていて、手で扱かれる度に硬度を増していく。
 唇もペニスに達して、咥えられる。
 勃起したペニスをその口淫によって、更に昂ぶらされる。

 俺のアナルに触れた指が、ローションの滑りを借りて、挿入されてくる。
 そして、アナルの裡を探るように入り口を解される。
 裡を探っていた指が前立腺に触れ、快感が漏れそうになる。

「あ……は……ぁ……んん……」

「幸生……イれるよ。」

「ん……」

 雫のペニスが俺のアナルに挿入されてくる。
 一旦、奥まで挿入すると、少し、カラダが慣れるまで、そのまま下肢は繋がったまま口付けを交わした。
 それから、抽挿が開始される。

「…ぁ……んん……あ……は……雫……」

 徐々に突き上げるスピードを増しながら、俺の感じる場所を擦り上げてくる。

「雫……あ……ん……イイ……っ……!」

 ペニスの先端から、先走りが溢れ始め、限界が近付いている。
 雫は、それを促すように、ペニスに触れてくる。
 俺も、雫の射精を受け止めようと、アナルを締め付ける。

「…は……ぁ……雫……イく…っっっ!」

「ん……幸生…っ…!」

 絶頂を迎えて、一時の休息に入る。
 呼吸を整えながら、落ち着いてくると、再び唇が重ねられてくる。

「幸生も、抱いてくれるでしょ?」

 雫が求めてくれるなら、俺も、それに答えない訳がない。
 今は、それに答えられるから。

 そうして、雫のカラダを愛撫していく。
 昂ぶってくるお互いのペニスを扱き上げ、その快感に身を任せる。

 そして、雫のアナルに、俺のペニスを挿入して、感じられるその場所を、お互いに刺激する。

「…あ……は……あぁ……幸生……」

 雫に、俺のその名前を呼ばれる。
 そうやって求められて、精を放った。

 雫。
 雫はね、何となく、他の誰も見ない俺の事を見てくれていると思うんだ。
 多分ね、それは、気の所為じゃないと思う。
 何が雫をそうさせているのかはわからない。
 でも、問わない。
 俺からは決して。
 だから、きっと、雫も、それを話さない。


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