暴走書家

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『星降る言葉-4-』

 俺は、成澤と出会って、まだほんの少しだけど話をするようになって、少しずつ変わってきたような気がする。
 実際は、あまり変わっていないのかもしれないが、心持ち、というのだろうか。
 仕事に向き合おうとする姿勢だとか、人と話をする姿勢だとか。
 急に態度がコロッと変わったとかいう訳ではない。

 感じ始めていた限界を、俺一人ではきっと破る事の出来なかった殻を、成澤の手を借りて、破れそうな気がしてきていた。
 その先に、何が待ち受けているのかはわからない。
 けれど、もっと色々、成澤と話をしてみたかったし、成澤の事も知りたかった。
 そして、どんな俺だったとしても、成澤に知ってもらいたかった。

 俺は、仕事の合間をぬって、時間が取れそうになると、成澤に連絡を入れた。
 成澤の承諾を得て、夜遅く、成澤の家へ訪れた。
 成澤は、迎え入れてくれたものの、今日は、まだ少し仕事が残っているようで、俺に、そこら辺で待っているようにと、告げた。

 成澤の邪魔にならないように、パソコンに向かって、カタカタとキーボードを鳴らす、背中を眺めていた。
 その事が、決して、退屈ではなかった。
 真剣に仕事に取り組んでいる姿というものは、良いものだと改めて思った。

 仕事に区切りが付いたのか、キーボードを打つ手が止まり、パソコンのスイッチが切られる。
 それから、俺の方を向いて、すまなさそうに、詫びてきた。

「すみません。折角来ていただいているのに、お茶もださずに、何のお相手も出来なくて。」
「いいえ。俺こそすみません。仕事をされているのに、押しかけてしまって。」
「いえいえ。それは良いんですよ。でも、退屈だったでしょう?」
「そんなことありません。もう、映画の脚本の方は、進んでいらっしゃるんですか?」
「ええ。今日は、どうしても、進めてしまいたい部分があって、やはり、思いついた時に、メモにとって、それを、具体的に書いてしまいたかったもので。」

「でも、大体、話は決まっていらっしゃるんでしょう?」
「それはそうですけれど、やはり、細かい部分は、気をつけないといけないですからね。」
「細かい部分、ですか。」
「どういう時に、どういうタイミングで、どういう台詞を当てはめたら良いか、とか、そうした場合の、相手の反応は、どうだろうか、とか。どうしたら、自然な流れに見えるか、どうしたら、観客の印象に残るだろうか、とか。」
「難しそうですね。」

「でも、川島さんだって、演じる時に、動作の1つ1つ、台詞の言い回し、タイミングには気を使うでしょう? 与えられた台詞を、そのまま、読めば良いだけじゃないですから。」
「でも、それは、俺だけの力ではありませんから。それを、演出してくださる方がいらっしゃるから。」
「確かに、演出してくださる方の力も必要でしょう。でも、その方にだって、川島さんの力がなければ、表す事は出来ないんですよ。演出家は、演出をするだけで、実際に演技をする訳ではありません。」
「俺の、力、ですか。」

「ええ、そうです。私にしたって、私が、頭の中で、どんな物語を作ろうと、それを表現してくださる方がいらっしゃってくださらなければ、どうにもならない。川島さんの方が、良くご存知でいらっしゃると思いますけれど、1つのドラマを、1つの映画を作り上げるのには、大勢の人間が関わっているのです。それは、どんな目立たない仕事だったとしても、それが、欠けてしまえば、完成させることは出来ません。」
「そうですよね。裏で働いてくださる方がいらっしゃらなかったら、確かに、1つの作品として仕上げる事は出来ないんですよね。俺は、どっちかというと、表の人間ばかり見て育ってきてしまいましたが。実際、仕事場に入ってみると、そうじゃないんだって事に気がつきました。」

「何らかの作品にしろ、観客は、そこに、何かを求めてやってきます。どんな、作品かにもよりますけれど、それが、笑いだったり、感動だったり、自分自身を重ねてみたり、夢を見たり……その他、様々です。」
「俳優目当てにする人もいますよね。自分の好きな俳優が出ている作品だから。カッコイイ人が出てるから、カワイイ人が、キレイな人が出てるから、とか。」
「例えそうでも、その作品の中から、何かを感じ取ってくれると嬉しいですね。」

「見る人は、虚構の作品の中に、何を見ているんでしょうか。」
「それは、やはり、人それぞれでしょう。人生自体、その人にとって、一つのドラマです。どんなに平凡だと感じようと、それは、その人オリジナルのドラマなんですよ。人間は、そんな物語なくして、生きてはいけませんからね。」
「脚本家は、その人、本人ですか。」
「もしかしたらそうかもしれないし、そこに、シナリオなんて存在ないのかもしれない。少なくとも始めからは。創造するする作品と違って、シナリオの方が、後からその人の歩んでいる人生に沿って、書き足されていくのかもしれません。」

 俺も、俺自身の人生を生きている。
 生まれ出た瞬間から、きっと、その物語は始まっているんだろう。

「人生には、分岐点があって、選択を迫られる時がある。俺は、俳優と言う道を選んだし、あなたは、脚本家と言う道を選んだ。俺は、あまり、ほかの選択肢の事を考えたことはなかったけれど。」
「仮に、幾つかの選択肢があったとしても、その時点は1度きりで、一つの選択肢を選ぶことしかできません。ゲームなんかだと、一つの選択肢を選んで、一つのルートを進んで、一つの物語を終えてから、また、戻って、別の選択肢を選んで、別のルートを楽しんだりします。幾つもの選択肢を、経験してみたい、それはそれで、人の夢なのかもしれません。」

「もし、あの時、別の道を進んでいたら……ですか。」
「ええ。それが、実際に選んだ道より、良い道か、悪い道かは誰にもわかりません。その時点での選択肢は、もう既に選んでしまったのですから。ただ、これは、ゲームも同様ですが、分岐点に突き当たるのは、1回きりではありません。人間は、気が付かない内に、幾つの分岐点を通り過ぎている事も多いです。」
「無意識で、選択している、という事ですか?」

「そうですね。意識している部分も、多いでしょうが。例えば、高校を選ぶ時、大学を選ぶ時、就職先を選ぶ時、恋人と付き合うとき、結婚をする時、子供を作る時、全てが、自分の思い通りになるとは限りませんが、確かに選択肢は、存在するのです。」
「でも、生まれる時と、死ぬ時は、選択出来ませんよね。」
「生む方はそうではなくても、生まれる方はそうでしょう。死ぬ時は……微妙ですね。自ら選択してしまう人もいますから。」
「ああ……自殺、ですか。」
「ええ。それが、必ずしも成功するとは限りませんが、どんな事情にしろ、自らの死の時を選択する人もいますから。」

「それを、ある種、ロマンチックにしてしまうのは、心中、でしょうかね。」
「日本人は、そういう傾向が強いですよね。昔から、その手の作品は、沢山ありますし。愛する人と、一緒に死ねたら、と。」
「そうすれば、愛は永遠にのこるのでしょうか?」
「そういう物語を求める人は、そう思う人が多いでしょうね。二人とも死んでしまった時点で、物語は完結します。でも、残酷にも、死んでしまっても、世界は動き続けます。もし、覚えてくれている人いたとしても、その人もやがて亡くなります。死んだ二人にとっては、永遠だったとしても、世界にとっては違うんです。」

「でも、それは、どんな人の物語にもいえる事ですよね。」
「それはそうですよ。もし、その人が、偉大な人で、後世に語り継がれようとも、その人も、死んでしまった時点で、その人の中で、その人の物語は終わります。後世の事など、わかる訳ないですからね。」

 どんな物語にも、始まりと終わりがある。
 人は、生きゆく中で、それをどう感じているのだろう。
 日本人が、今まで、死を美化してきたのも、それと関係があるのだろうか。
 誇りを保つ為の自決。
 名誉の戦死。
 その美しく悲しい物語の終結に、人は涙する。
 勿論、死という現実の悲惨さを物語ったものもあるけれど、それはそれで、やはり、人のココロを動かす。

「成澤さんは、今回の、ココロを病んだ青年は、自殺させるつもりですか?」
「さあ……どうでしょうね。でも、現実には、精神を病んだ人の中に自殺を試みる人は多いようです。だから、入院患者には、その手段となるようなものは、与えないんですけどね。それでも、それでも、定規で手首を、傷つけたり、タオルで首を吊ってしまう人もいるようです。ネタを明かしてしまいますとね、作中では自殺はさせないつもりです。それを、匂わせるように書いても。ドラマや映画などの虚構の物語の良いところは、絶対的な終末としてではなく、物語を終わらせる事が出来る事です。そして、そうする事によって、その作品を観た人は、この先はどうなるのか? 思い巡らせる事が出来るのです。」

「でも、続編が求められる事もありますよね。」
「ええ。シリーズもの何かは特に。それでも、最終的には、絶対的な結末はありません。例え、主人公が死んだとしても、虚構の世界は、虚構の世界で回り続けます。作品の結末に納得するしないも、人それぞれですし、納得の仕方も、また人それぞれです。私は、出来るなら、今回の作品で、その終結にある先を、観た人たちに想像して欲しいです。そして、その人たちは、どんな未来を、見出すか。私の力量にそれだけの能力があるかわかりませんが。私だけでは無理でしょうから、それを演出する人、演じる人の力を借りて。」

「俺は、成澤さんの期待に応えるだけの自信は残念ながらありません。」
「私が1人じゃないように、貴方もまた、1人ではありません。川島さんは、決して、演技力がない訳ではないと思います。川島さんが、演じてくださった結果、私が、最初、イメージした通りに出来上がるかもしれませんし、良い意味で、違うものが出来上がるかもしれません。」

「良い意味で、なら良いんですが。」
「すいません。言い方が悪かったかもしれません。ただ、私は、川島さんの作品を観させていただいて、今回、この役で川島さんが作り上げる世界を観てみたいのです。」
「何だか、そういう風に期待されると、照れくさいですね。でも、やはり、期待されるのは、嫌ではありませんね。やり甲斐があると思います。そして、貴方の期待に応えてみたいと。」

 期待してくれるという事は、俺の、可能性を信じてくれているという事なのだ。
 今まで、俺に、出演を願った人達もまた、俺に何かを期待してくれていたのだろうか。
 そして、そんな俺を観てくれている人達は。
 もし、そうだとしたら、俺は、どれだけ、それに応えられていたのだろう。

 今まで、そんな事、考えもしなかった。
 ただ、重苦しいだけだと。
 けれど、成澤が気付かせてくれた。
 そして、俺も、成澤に何かを与える事が出来れば……。

「成澤さん……」
「ん?」

問いかけてきた、成澤の唇を俺の唇でふさいだ。
カラダを抱き寄せ、角度を変えて、何度も口付ける。

「貴方が、欲しい。」
「ええ。私も……ベッドに行きましょう。」

 カラダを寄せ合ったまま、隣室のベッドに倒れこんだ。
 そして、再び、唇を求め合う。
 触れるだけだったキスが、だんだん深くなり、お互いの口腔を舌でまさぐり合う。

 それだけでも、昂ぶり始めていたけれども、もっと、もっと、欲しくて。
 口付けを交わしながら、成澤の肌に指を這わせていく。
 乳首を捕らえ、そこを、指先で転がしたり、引っ張ったりして、刺激を加える。

「ふ……ぅん……」

 重ねられている唇の間から、成澤の吐息が漏れてくる。
 そこを、丹念に愛撫し終えると、今度は、ペニスに手を這わせ、包み込んで刺激していく。
 成澤も、同様に、俺のペニスを掴み、擦り上げる。

 その刺激の中で、互いにどんどん昂ぶっていく。
 その硬度を確かめてから、俺は、成澤のアナルに指を這わせ、ローションを垂らして、挿入していく。
 俺の、ペニスを受け入れる、その場所を。

「…あ……はぁ……あ……」

 挿入した指の本数が増え、それに馴染んでくると、指を抜いて、代わりに、ゴムを被せた、ペニスを挿入していく。

「ん……ぁ……はぁ…あ……」

 奥まで埋め込んだペニスを、ゆっくりと動かし始める。
 その存在に耐えられるように、そして、感じられるように。

「あ……あぁ……ふ……ぁ……」
 俺のペニスで感じてくれているのが嬉しい。
 前立腺を擦りあげながら、深く抽挿を繰り返す。

 その刺激の中で、2人とも達した。

「成澤さん、抜くね。」
「あ、ああ。」

 射精して、それで尚、完全には萎えてないペニスをゆっくりと抜いた。
「ん……」

「成澤さん、まだ、大丈夫ですか?」
「え、はい。」
「じゃあ……」

 俺は、皆まで言わず、成澤のペニスを口に含んでいく。
 喉の奥まで深く咥え、口腔内全てで、そのペニスを味わう。
 その口淫で、成澤のペニスも硬く勃起してきた。
 そして、更にその行為を続ける。

「……っ……川島さ…ん……」

「成澤さんも、俺に……」
 口を離し、そう言った。
 体勢を入れ替え、成澤のペニスを俺のアナルに受け入れる。
 俺のアナルの裡でその存在感を示す、ペニスに充足感を覚える。

 そして、成澤の抽挿に感じて、ペニスも同時に扱かれて、射精した。
 ゴム越しだけれども、成澤が達したのがわかった。

 これも、俺の人生というドラマの一つの出来事。
 そして、成澤にとっても。
 それを、共有している事が、何より嬉しかった。



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