暴走書家

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『舞う粉雪-3-(完)』

 一年の仕事納めを向かえ、無事一つの区切りを迎えた。
 学生時代は、殆どが、3月で一年を終え、4月に新しい年を迎える事になっていたから。
 そんな小中高と三学期制の学生時代を過ごしてきた。
 大学は、前期と後期。
 それでも、区切りは一緒で、夏休みを境に、後期に移っていた。
 今は、割と二学期制も導入されてきているんだよな。
 まあ、日本の中では、学年の切り替えはやはり4月だけれども。

 海外だと、9月が始めになったりするから、この新しい学年の始まりの時期のズレはどこからやってきたんだろう。
 日本だと、春になって、冬眠していた動物達が目を醒まし、植物も芽吹いてくる、ある種、生れ変わりの時期のような気がする。
 それに何となく、桜、のイメージもある。

 卒業が当然、3月だから、新入社員の受け入れ、というのも4月になり(まあ、例外はあるが)、その頃に、教える事が多くもなる。
 しかし、一旦、会社に入って、そこで勤め続けるようになってしまえば、学生時代とは少し感覚が違ってくる。
 生活の多様化によって、盆も年末年始も関係なく仕事をしている人間も勿論いるけれど。
 そういえば、学生時代に年末年始の休みがもったいないから、バイトを入れていたら、大晦日の日に『良いお年を』と挨拶して、仕事を終え、翌日の元旦に『明けましておめでとう』なんて、1日も空けずに顔を合わせて挨拶をしたっけ。

 まあ、そんなんで、一年を終えて、正月を裕和の家で迎えるため、名目上の大掃除をした。
 一応、一日中掛けてね。
 で、部屋の変わり映えがしたか、というとそうでもない。
 多少は、積んであった、雑誌や新聞、本の分類なんかはしたけれど、冬は寒くて、水も冷たいから、棚の拭き掃除なんかは夏の内にやった方がいい。
 掃除機は……普段より、丁寧に掛けたつもりだけど。
 本や雑誌を整理していると、ついつい、その中まで、見てしまい、気付いたら、それだけで、結構時間が経ってしまっている。

 それでも、何とか掃除を終え、翌日、裕和の家へ向かった。
 裕和の方も、『一応』大掃除はしたみたいで、やはり大して代わり映えはないんだけれども、そんなものだろう。
 それから、一緒に買い物に行って、晩御飯は、やはり鍋にしよう、という事で、鍋の具剤と、夜食用に年越しそばを小鉢くらいで食べようと2人で1人前分と大きな海老の天ぷらは乗せることが出来ないから、小さめの海老にして、翌日の雑煮の為に、餅などを買った。

 前回と同じように、鍋を味わい、大して観ていなかったけれど、気分的に大晦日特有の番組のテレビをつけていた。
 ちびりちびりと、熱燗を味わいながら、時たまテレビに目を向け、たわいもない話をする。
 そんな感じで、過ごしている間に、23時になりそうだったので、小さな海老の天ぷらを揚げ、蕎麦を茹でて、小鉢にそれらを盛って、一人前の半分だから軽い夜食としても調度良く、食べ終えた。

 俺は、ずっと、年越し蕎麦を大晦日に食べるものだと思っていたけれど、そうでもない地域もあるんだよな。
 会津地方では、元旦に蕎麦を食べる風習があるし、新潟県だと、1月14日(小正月の前日)に蕎麦を食べる「十四日(じゅうよっか)そば」や1月1日(元旦)に蕎麦を食べる風習もあるし、その中でも、新潟市北区では、大晦日の24:00に蕎麦を食するのが一般的だったりもする。
 香川県では蕎麦よりも讃岐うどんを食べる風習があったりするし。
 大きな宇宙の一つの惑星に過ぎない唯一人類が生息できる地球の更にその中でも狭い、日本の中でも、結構違いはあるものだ。

 日付が超えて、除夜の鐘が鳴り始めた頃、俺と裕和は、風呂に入ってから、ベッドへ向かった。
 裕和のカラダを求めて、唇を重ねていく。
 軽く触れるだけの口付けを何度か交わし、舌を絡め合う。

「ふ……ん……」

 口付けの合間に漏れる吐息が官能を高めていく。
 唇を裕和の肌に落とし、それと共に指で刺激する。
 乳首を摘み上げ、それに対して、反応してくる裕和。

「……ぁ……ん……憲次……」

 裕和の手が、勃起している俺のペニスに触れてきた。
 俺も、裕和のペニスに触れると、やはり同じように勃起していて。
 そのまま、お互いのペニスを扱いていく。

 それでも、まだ果ててしまわないように、勃起したペニスから手を離して、俺は、裕和のアナルに指をローションを垂らしてから挿入し、解していく。
 挿入する、指の本数を増やしながら、内壁を刺激する。

「……ん……もう……いいよ……憲次……」

 アナルから指を抜いて、ゴムを被せたペニスを挿入する。
 奥まで、挿入しきってから、一旦動きを止め、口付けを交わした。
 それから、ゆっくりと抽挿を開始する。

「裕和……」

「ん……ぁあ……」

 抽挿を繰り返しながら、徐々にその速さが増し内壁の裕和が感じられる場所を突き上げていく。
 感じながら、ペニスを締め付けてくるアナルの感覚がたまらなくて、俺も、より、裕和が感じられるように、大胆に突き上げる。

「……ん……ぁ……イく……っっ!」

「く……ん……っっ…!」

 お互い、限界はそこまで来ていて、射精していた。
 自らの腹の上に精液を放っていた裕和は、ベッド脇にすぐ置いてある、ティッシュで、それを拭い去り、俺も、裕和のアナルからペニスを抜いて、ゴムを始末した。
 一時の休息を経てから、俺は、裕和の愛撫に身を任せていく。

 体勢を入れ替えて、お互いの再び勃ち上がりかけたペニスを口に含んでいく。
 口淫を施しながら、裕和が、俺のアナルに指を挿入してくる。

「ん……」

 挿入を受ける瞬間、一旦、口を離してしまったけれど、裕和の指をアナルの裡に感じながら、再び、ペニスを咥えていく。
 そうして、十分勃起した裕和のペニスをアナルに受け入れる。

「…ぁ……ん……あぁ……裕和……」

 突き上げられながらその欲望の確かな存在を感じて、快感に喘ぐ。
 前立腺を擦られて、長く続く快感の中で、それでも、射精感は高まってきて、アナルを締め付けながら、達した。
 その中で、裕和も同じように達していた。

 シャワーを浴びて、セックスの名残を洗い流した後、整えたベッドに横になった。
「おやすみ、かな。明けましておめでとう、かな。」
「どっちだろうね。取り敢えず、おやすみ、かな。後は、起きてからでも。」
「そうだな。」
 眠りに入って、翌朝、目が醒めてから、改めて『明けましておめでとう』『今年もよろしく』と挨拶を交わした。

 朝食に雑煮を食べてから、混んでるかもしれないけれど、一応出掛けようか、という事で、初詣に出掛けた。
 願いは、『どんな事があっても、一年を乗り切れますように』と。
 これは、毎年同じ。
 寒い中、来た道を同じように歩いて裕和の家へ戻った。
 そして、夕食を食べた後、明日はお互い、実家へ行くからと、俺は、自分の家に戻って行った。

 正月だけでなく、たまに、顔を見せるけど、あまり変わりないように見えて、お互い、それぞれ、歳を取っていくのだな、と感じる。

 それから、同窓会もあって、そこで、友人と顔を合わせた。
 その友人も含めて、こんな時くらいしか顔を合わせない友人の内、数人は、結婚していて、子供もいたりするようだ。

 その友人の方は、奥さんが、今、妊娠3ヶ月だそうだ。
「お前は? 彼女出来た?」
「え?」
「だってさ、俺達、付き合い長いけど、お前の彼女の話とか、聞いた事なかったな、と思ってさ。」
「……そう、だね。まあ、でも、中々、上手くいかないから、話せなくってさ。」
「そうなのか? あんま、水臭い事言うなよ、親友だろ?」

 親友、か。
 知っても、それでも、親友でいてくれるだろうか。
 いや、でも、全ては話すまい。

「今、恋人は……いるよ。上手くは、いってると思う。」
「へえ、そうなんだ。よかったな。長いのか? 結婚を前提に、とか。」
「まだ、半年、くらいかな。結婚は……」
「ん? 何? 迷ってるの? 何だったら、相談に乗るぜ。」
「……俺、ゲイなんだ。だから、今付き合ってる、恋人も、同じオトコなんだ。」
「えっ……?」

 友人が、言葉を失ったのがわかる。
 やっぱり、嫌なものかな。

「そういうの、気持ち悪いと思う? 本当は、打ち明けるつもりはなかったんだけどね。まあ、でも、それが俺だからね。ああ、でも、安心していいよ。お前の事は、友人としては大切だと思うけど、そういう好みの対象じゃないから。」

 少し、自虐的な台詞だったかな。
 そう思ったけれど、不思議と、哀しみは湧いて来なかった。

「いや……ごめん。俺には、よくわからん。……他の奴とか、お前の親とかは知ってんのか? その事。」
「他の友人は、知らないよ。親は、知ってるけど。」
「そう……か。」

「ごめん。やっぱ、話したら、変に気を使うよね。嫌な思いさせたりとか。」
「今は、ちょっと混乱してる。……お前の、恋人、の事とか、深くは知ろうとは思わないけど、お前が、親友である事には変わりないよ。」
「……そう言ってもらえると、助かる。奥さん、今、3ヶ月なんだろ? 産まれたら、何かお祝いするよ。お前だったら、結構、親ばかになりそうだけどな。」
「それに関しては、何となく自信がある。」
「何だよ、その『自信』って?」
「悪いか?」
「いやいや、別に。」
「まあ、また、じゃあ、連絡するわ。」
「ああ、じゃあね。」

 そう言って別れた。
 家に帰って、一人で落ち着いてみても、涙は流れてこなかった。
 その後、また裕和と会って、その話をした。

「で、憲次はどうなの?」
「ん……やっぱり、まだ多少は好きなのかもしれない。でも、以前のように、辛いとは思わない。ゲイだって事、カミングアウトしても、あいつが『親友』だって言ってくれた事が嬉しかったし、今は、それ以上に、裕和の事が好きだから。」
「そう……か。俺も、憲次の事、好きだよ。だから、今、この想いを離したくはない。」
「俺も、裕和と会えて、こうしていられる事を大切にしたい。」
「まだ、先があるからな。」
「うん。……あ、雪が降ってる。」

 窓の外に目をやると、雪が舞い降りてきていた。
「そういえば、出会った日は、雨が降っていたな。」
「そうだね。傘、貸してもらったんだよね。」
「ははは。半分、押し付けたんだけどね。」
「うん、まあ、そうだけど、その結果、今こうしていられるから。感謝してるよ。」
「感謝、だけ?」
「いや、違うけどさ。……この雪、積もるかな?」
「どうだろうね。」

 そのまま、暫らく、二人で、窓の外を眺めていた。

 こんな、粉雪は、舞い降りても、すぐにではないけれど、融けて水に変わってしまうだろう。
 そんな風に、俺の友人への想いも、いつしか少しずつカタチを変えてきた。
 多分これからも。
 本当に、親友、と呼べるまで。
 そういえば、衣替えも、季節によって変わっていくけど、巡りながら、去年と同じ服を着たり、そうではなくて、新しいものに変えたりするんだな。

 もう少し、降り方が激しくなれば、柔らかく、積もっていくことだろう。
 これから先、裕和と共に、想いを、関係を、積み上げていければどんなにいいだろう。

 地球という、ほんの一つの小さな惑星。
 その中の、生物である人間という存在。
 更にその中で、小さな島国の、日本に住んでいる。
 そして、ゲイである人。
 それでもまだ、出会わぬ人々は沢山いる。

 限られた出会いの中で、けれど、出会えて、この想いを大切に出来るなら、大切にしていきたい。
 同じように、裕和も想ってくれているなら尚更の事。

 それから、友人の中でも『親友』だといってくれたあいつ。
 それは、それで、やはり大切な事だと。


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コメントコメント


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新しく共に過ごす人ができても、長らくの執着がいきなり吹っ切れたりしないのは当然のこと。
それでも少しずつ形を変えていくのは、やはり一緒に穏やかで優しい時間を過ごしてくれる人がいるからなのでしょう。
ありふれた日常を積み重ねることの強さ…のようなものを感じました。
雪の舞う姿に暖かさを感じるお話、堪能致しました。
(この話読んでると無性に鍋が食べたくなります/笑)

uduki | URL | 2009年01月13日(Tue)22:53 [EDIT]


私は蕎麦が食べたくなりました(笑)

年越し蕎麦は、細く長く生きてゆく、という意味合いがありましたよね。
人間関係も時に細く、時に太く、長く維持してゆくものなのかもしれません。
まさにそんな終わり方でしたね、お疲れさまでした。

あ、蕎麦に乗せる海老も腰が曲がるまで、、でしたね。

まー | URL | 2009年01月13日(Tue)23:19 [EDIT]


好きな人から『親友』って言われたら難しいけど、辛くないのは、寄り添ってくれる穏やかな恋人がいるからかな。
そのうえで、好きなノンケから言われたらある意味「昇華の言葉」になるのかもしれませんね。

お雑煮食べたくなりました。あとえび天。

きっちょん | URL | 2009年01月14日(Wed)01:26 [EDIT]


お餅とお蕎麦が食べたくなっちゃいました(笑)

ミネルバ | URL | 2009年01月14日(Wed)02:53 [EDIT]


 
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